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滝に近づくとジュノの部下5人が野営しつつ、ダンジョンの入口を見張っていた。
彼らはいずれもレベル20を超える元ベテラン冒険者だ。
行方不明になっている斥候隊5名は出現場所から考えて、十中八九、例の巨大モンスターと遭遇したのだろうとのことだった。
なので、まずはそのモンスターを討伐し、それから辺りを調べようということになった。
作戦は開幕俺がグラシエスノヴァで遠くから攻撃し、他のメンバーと連携して敵の注意を引き付ける。
その隙に、風魔法 “気配遮断” が使える斥候職の元女冒険者ココリさんがゾディアック毒のビンを巨大モンスターの口に投げ込むというもの。
毒のビンは30センチくらいの丸みを帯びたガラスでできており、モンスターの歯にあたれば割れる。
その他のメンバーはジュノと同じファイタータイプのヒジンさん、タンクタイプのゴッズさん、ウィザードタイプのホワイトさん、ヒーラー支援タイプのミズチさんとパーティバランスもバッチリ。
これならよほどのことがない限りきっと大丈夫だろう。
「さあ、狩の時間だ!」
そう意気揚々とダンジョンに入ったのだが、その “よほどのこと” が起こった。
【魔獣竜ベヒーモス(Lv32):巨大な半獣半竜モンスター。どんな高レベル冒険者であったとしてもその威容を見たらすぐに逃げるべきだ。死にたくないのなら……。保有スキル、魔獣竜の息吹Lv7、魔獣竜の魔眼Lv8、魔獣竜のオーラLv7。体力1523、魔力1282、気力1134、力1421、知能1321、器用さ1198、素早さ967】
広大な地下空洞の中を悠然と歩くベヒーモスを岩場の影で鑑定した俺。
さらに鑑定したところ、オーラ外からの物理・魔法・状態異常攻撃をキャンセルするのが魔獣竜のオーラというスキルで、魔獣竜の息吹(ブレス攻撃)発動後のクールタイム中オーラが途切れるのだそうだ。
魔獣竜の魔眼は、石化・錯乱・恐怖の状態異常を引き起こすものだそうで、いわばコカトリスの石化視線攻撃の上位互換。
視線を合わせないのが回避法と書いてあったけど、戦いながら見ないというのも中々厳しいものがある。
コカトリスの石化攻撃には今までパルナ解毒ポーションを事前に口に含んでおく対処をしていたので、今回も真似ることにはなりそうだけど……。
鑑定様の忠告もあったことだし死にたくないので逃げようかな……? と一瞬本気で思ったけど、もう作戦は動き出している。
何より行方不明になっている兵士たちを探さないといけない。
腹をくくろう。
俺は自分と仲間に補助魔法の “バーニングマッスル” と “ストーンスキン” を付与。
ミズチさんが魔力と気力を底上げする聖属性補助魔法 “祝福” と対魔物に対する防御力と攻撃力を底上げする “聖闘気” を全員に付与した。
作戦のキーとなる毒ビンをもったココリさんが “気配遮断” を使ったのを確認したところでパルナ解毒ポーションを口に含んだ俺は、
「手はず通りいくぞ」
押し殺した声で仲間に合図した俺は、懐から牙を取り出すと岩場の影から敵に向かって飛び出したのだった。




