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移住者の第二陣が到着したことで、町の人口は何だかんだで一気に1000人弱まで膨れ上がった。
そして今回、聖職者兼徴税役のシャーロットさんが到着したことで、今後ヴォルフスザーン男爵家の口座に集めた税金が入ってくることになった。
税金の制度はランカスタ王国法の範囲内に収まる税率であれば、徴収方法・課税名目・税率は領主に大きな裁量が与えられていた。
なので俺は、元の世界の税法知識をフル動員して税金制度を作ることにした。
まずは源泉徴収制度を導入することにした。
これは現代日本で最強の税制と言われており、一般労働者から痛税感を与えずに確実に給料から税金を天引きにする制度だ。
住民が少ないうちから市民一人一人の戸籍と商業ギルドの預金口座を設けさせ紐づけることで、管理コストを下げる。
戸籍台帳登録と預金口座の開設に金貨2万枚の初期費用がかかったけど、これは今後のことを考えればどうしても必要な投資だった。
例えばベーシックインカムや緊急な対策で給付金を市民全員に配るようなとき、預金口座と戸籍を紐づけて整備しておけば、簡単な操作でお金を配ることができる。
一人の貧困者、餓死者も出さない。
うちの町ではスラム街を作らせない。
それが一番のテーマと考えているので、これはどうしても必要なことだった。
もちろん平時は、うちの町の労働者の給料からは殆ど自動で税金を吸い上げることができるので、徴税システムとしてめちゃくちゃコスパがいい。
あとは累進課税。
年収の多い人からは税金を多くとり、少ない人からは少なくとる。(あまりに少ない人からはとらない)
所得レベルのグラデーションを作って税率を変える。
あまり複雑にしすぎると計算が大変なので、50%、40%、30%、という感じで年収によって税率を変えることにした。(年収金貨3枚以下の少ない人は無税)
まあ、格差是正の制度を複雑すぎない形で導入することにした。(複雑すぎるとそれはそれで徴収コストがかかってしまうので)
そして今は初年度なので、年収が把握できない問題があったけど、初月の収入×12を基準に税率を設定。
この世界は花鳥風月(それぞれ壱~参がある)と季節を呼んでおり、花(3~5月)、鳥(6~8月)、風(9~11月)、月(12~2月)にあたる。
なので12月末日にあたる、月の壱末を税計算の期末、月の弐開始を期初とすることにして、そこから確定申告を経て還付調整(経費を申告してもらって税金をとりすぎてたら戻す)という対応をすることにした。
労働者以外の企業家、事業者への税金も同じく初月の申告額×12か月を元に税率計算、後での還付対応で課税することにした。
ということで、今月から男爵家の口座に税金が入ってくることになったのだった。
あとは最初チラリと触れたベーシックインカム。
市民全員、赤ちゃんも子供も大人も等しく、毎月一律銀貨1枚を口座に振り込む。
これがあればとりあえず餓死者が出ることはなくなるはずだし、町の中で食うに困ってのスリや窃盗も減るはず。
金持ちにも配る必要なくない? と思う人もいるだろうけど、それは税金で後で回収するので問題ない。(むしろ生活保護給付のように個別に判断するコストがもったいないし、浮いた分を市民に回す方がいいと思っている)
他にも色々アイデアはあったけど、導入コストとの折り合いで、一先ず試験的にこのシステムで走らせてみることにしたのだった。




