k-265
ブラードさん率いる先発隊がボーラシュ平野に到着してたからはや一か月。
町の外周がようやく形になってきたところで、第二陣を出発させることにした。
今回はタイラントからの移住組も来ていて、レスタと合わさって移住希望者600人超。
陛下からの手紙では王都周辺からの移住希望者はこれよりも多くなる見込みとのこと。
ヴォルフスザーン男爵軍がこのままの人数では不十分なのは明らかだった。
なので、この一か月急遽20名雇った。(レスタ兵士団から10名融通、冒険者から10名)
結果、ジュノとマルゴを除いて76名に。
ということで第二陣には26名、第三陣には30名の男爵軍をつけ、足りない分は冒険者への護衛依頼でまかなうことになった。
第二陣のは第一陣よりもさらに色々な人たちがいて、各種ギルトの職員、移動馬車屋、徴税役兼聖職者としてシャーロットさん(とその部下シスター)、鍛冶師、服飾士、焼き串露天商、大道芸人から何でもござれ。
中でも里の年長組が入っていたのが感慨もひとしおだ。
里の年長組には餞別に渡した水の湧き出るポットで、まずは水屋さんで金儲けをすることをすすめた。
単なる水と馬鹿にすることなかれ。
属性付与で湧き出たばかりの水は、煮沸の必要もないくらい綺麗で飲用になる。
川が近くにあるとはいえ、井戸を掘るのもままならない今、飲み水を始め生活用水に需要があるのは間違いなく。
なのでまずは水屋で金儲け。
それからどんな商売に広げていくかは個人の才覚しだいだけど、魚の獲り方は十分教えたつもりだ。
一応「どうしようもなくなったらまた頼ってこい」とは言ってあるけど。
でもきっと大丈夫。
なぜだか俺には確固たる自信みたいなものがあって。
日本の商社時代部下をもち一人立ちさせたときの経験からか、年長組からはその時の比じゃない逞しさやハングリー精神、やる気を感じたからなのかもしれない。
さらにさらに、今回の第二陣の馬車にはエルザが乗っていた。
ユリナさんとサラサがジュノと会えないエルザを慰めるためパジャマパーティーをした後、俺、ユリナさん、サラサの三人で密に根回しした結果だ。
魔道具で町の様子を中継してくれるブラードさんだけにこのことをコッソリと伝えてある。
さて、そろそろエルザが向こうに到着するころだな。




