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【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


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(モノローグ・ジュノ)愛の “しょっぱいスープ”

 友人のケイゴが男爵貴族になったことで、その男爵軍のトップを任されることになった。


 正式名称はヴォルフスザーン男爵軍、将軍。


 元々 “蒼の団” という名前だったので、今でもその俗称で呼ぶ人は多いけど。


 紋章旗がやけに蒼色を基調にしたものになっているのもその名残なんだけど、やたらとファンシーで可愛いのがちょっと恥ずかしい。



 まあ、逆にそんなにキュートな旗しておいて強かったらそれはそれで怖いので、問題ないのかもしれないが……。



 腑に落ちないのは否めない俺であった。



 そんな俺は、男爵軍20名を率いてボーラシュ平野に来ている。


 もちろん、ケイゴが治める新しい町を作るためだ。



 建設作業は今の所順調に来ている。



 男爵軍の兵士は団の頃の名残で、全員にブルーウルフの皮で出来たブレスレットをつけている。


 それをつけているとなぜかブルーウルフをテイムモンスターと同じように一人一体

手名付け騎乗することが出来た。


 俺の騎乗用ブルーウルフ “ファング” も含め、21体のブルーウルフたちが建築現場の警備で役に立ってくれていた。



 それにしても、ここ最近エルザがいつも作ってくれていた塩分多めの “しょっぱいスープ” (その名で呼ぶとエルザはプリプリ怒るけど、宿屋の客の通名となっている)が恋しくて仕方がない。


 男爵軍の兵士たちもエルザの宿屋の常連客冒険者が大半なので、皆口々にそう言っている。



 久しくエルザの顔が見れなくて寂しい。



 でもエルザはエルザで宿屋の経営を頑張らないといけないし、我がままは言えないよな……。



 料理は持ち回りでこなすことになっていて俺もエルザの料理を真似てみるんだけど、どうにもあの味を出すことができなかった。



「きっとラヴ成分が足りないんだな……」



 スープ鍋の前でオタマを持ちながら、部下たちに聞かれたら一か月はネタにされかねないことを口走る俺であった。



 こちらでもエルザが経営する予定の宿屋を作っているところなので、それが完成するまでの我慢だな。

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