k-257
一昨日ぶりにバイエルン様の館に入ると、バイエルン様の書斎に通された。
部屋の中にはゲルニカ陛下とバイエルン様。
そしてなぜかアルペンドレ男爵がいて、期待を込めた目で俺を見ていた。
何かを忘れているような気がしないでもない。
「こんにちは!」
俺は元気よく笑顔で挨拶して90度のおじぎ。
貴族や王様に礼儀を欠くと大変なことになるからな。
それから俺は、窓を全開放し持ってきたヤヴァイ毒とコボルトキング素材の装備たちをテーブルの上に並べていった。
新作を興味深そうに見る陛下とバイエルン様に鑑定結果を書いた紙を渡すと、急に雄叫びを上げながら目をギンギンに充血させ、新作たちを舐め回すように見始めた。
一方でアルペンドレ男爵はプルプル震え涙目になりながら、俺に「あんまりですぞ!」という感じの言葉を吐きながら詰め寄ってきた。
「ああ、そういやそうだった……」
俺は男爵をドウドウとなだめつつ、後ろに控えていたジルさんにお願いして、家に置いてあるポーションの材料と錬金道具を紙に書き、この場に持ってきてもらうようにお願いした。
その後毒ビンを宮廷錬金術師の何とかさんという人が出てきて鑑定して腰を抜かしたり、コボルトキング装備を近衛兵士長の何とかさんが出てきて見て腰を抜かしたりしていた。
騒がしいことで。
それからジルさんの部下にポーションの材料を取ってきてもらう間、商業ギルドでやったようにコボルトキング装備を身に着け、ドニーさんに協力してもらい、模擬戦闘をしてみせたりした。
ドニーさんや近衛兵士長の何とかさんもコボルトキング装備を欲しそうにしていたよ。
ああ、そう言えば、
「材料があとこの装備一式分だけありますけど誰かいります?」
そうジェスチャー混じりで言うと、全員がレッドブルみたいに血走った目になった。
だがそこは全員空気を読み、ゲルニカ陛下に譲ることにしたみたいで。
陛下専用のコボルトキング装備を金貨9000枚で作ることになったよ。
あとヤヴァイ毒は宮廷錬金術師の何とかさんが唾を飛ばして「国庫で管理すべきだ!」的なことを喚いていたみたいだけど、俺も男爵貴族であることを思いだしたのか引き下がってくれたよ。
そうこうしているうちに、ジルさんの部下が店の倉庫からエギルの回復ポーションの素材をもってきたのだった。




