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【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


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k-252

 俺に毒を盛ったアルペンドレ男爵を断罪することはたやすい。


 陛下に一言「許せない」と言えば、この男はもう貴族ではいられないだろう。


 だけどそれが今後のためになるかといえばまた別だ。


 仮に男爵の息子や親戚が空白になったタイラント貴族を引き継ぐことになったとしても、遺恨は必ず残ってしまう。


 それならいっそ何かの交換条件を出した上でアルペンドレの目の前で「許す」と言ってしまった方が、貸しが作れて良い気がする。



「あの陛下、バイエルン様。俺はアルペンドレ男爵を許しますよ。あとハインリッヒの素材でエギルの回復ポーションも作ります。もちろんお代は頂きますが」



 俺がジェスチャー混じりでそう言うと、陛下とバイエルン様は俺を聖人でも見るような目で見て感心。



 それから陛下は叙爵と一緒にくれた金貨10万枚と同じ額を俺に支払うことで、罪を許すと言ってくださった。



 アルペンドレ男爵は許されたこととポーションが手に入ることで感極まって号泣。


 これで貸しとしては十分だし、今後男爵が俺にちょっかいをかけてくることもないだろう。



 コブラ使い風男給仕はアルペンドレ男爵に使われていたとはいえ、貴族に毒を盛っているので無罪というわけにはいかなかった。


 普通ならその場で斬首確定なのだそうだが、陛下にお願いして懲役刑どまりにしてもらった。


 ポーションの件を放置していたハインリッヒ、そして悠長に構えていた俺にも全く責任がないわけじゃないかなと思ったので。



 最後に何の罪もないローズさんには平謝りしたが、「私の男になってくれるなら許すわ」的なことを情熱的なジェスチャー(?)つきで言われたので、彼女をひっぺがした俺は、



「俺は妻帯者なので浮気はできません!」



 とちゃんと断っておいたよ。(何度も言うようだが、マジでユリナさんがここにいなくて良かった……)



 そしたらローズさんは「もっといい男捕まえるわ!」的なことを言ってパーティ会場に戻っていき、その後をアルペンドレ男爵が「ローズ~!!」と女々しく追っかけていったのだった。



「では我々も会場に戻りましょう。陛下、私、バイエルン様がいないんじゃ何のパーティなのかわからなくなりますからね」



 こうしてはた迷惑な事件は解決し、パーティの夜は更けていったのだった。

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