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「ゲルニカ▽×……、ラースティン××、〇△◆▽△?」
「×〇……、◆△〇△?」
「〇〇△!」
馬車が北門から出るところまで差し掛かったところで、バイエルン様と目力の強いオッサンが何やら話をしたかと思うと馬車が街中へと方向転換した。
「あの……、一体どこに行くんですか?」
俺がバイエルン様に聞くも、ニコニコ笑顔を浮かべるだけで何も答えてくれない。
めっちゃ不安だ。
俺が本格的に悲しそうな子牛の目になっていると、馬車はバイエルン様の館に到着。
館に着いてすぐにバイエルン様とオッサンはどこかへ消え、俺はジルさんに連行され身支度部屋らしき場所へ。
「ジルさん、これ一体何なんですか?」
俺がそう聞いてもジルさんはまあまあ、と終始ニコニコ顔をするだけで答えてくれない。
俺はなぜかかなりの時間をかけて風呂、マッサージ、散髪と至れり尽くせり。
最後に煌びやかで正装っぽい衣装に着替えさせられ、パーティに使う大広間に連れていかれた。
「ケイゴオクダ、×〇〇!!」
目力の強いオッサンが連れていたゴージャスな鎧を着た兵士たちが左右から何かを叫びつつ扉を開けると、そこにはレッドカーペットと人の山。
人の山の中にはユリナさん、ターニャ、マルゴたち、多くの知り合いたちがいた。
そしてカーペットの先の数段高い位置には豪華な椅子に座った目力の強いオッサンがいた。
金色の冠を被り、近くにはバイエルン様が控えていた。
これではまるで……。
俺がアホみたいに口を開けてフリーズしていると、ジルさんが肩を叩いて前に進めと言ってくれた。
仕方なく前に進む俺。
丁度カーペットの両脇でポールアックスを構えている兵士の前で止まる。
すると目力の強いオッサンの目がさらに圧力を増した。
クワッ! という感じで正直怖い。
その眼光にビビったのかジルさんがひれ伏したので、俺も仕方なくひれ伏した。
それを見たバイエルン様が何かよくわからないことを話し出し、目力の強いオッサンがそれに付け加えるように「ヨクヤッタ」的なことを言った。
すると間髪入れずジルさんがノールックで俺のケツを叩いて合図したので、「ハハ~! アリガトウ!」と叫びながら地面に頭をこすりつける俺。
さらにバイエルン様が何かを叫ぶと、ジルさんがバッ! といった感じで頭を上げたので俺もマネをする。
バイエルン様が銀のトレーに乗った羊皮紙巻物と宝剣をもち目力の強いオッサンの元へ行き、「ケイゴオクダ、マエヘ!」と叫ぶ。
ポールアクスの兵士を素通りし目力の強いオッサンの前に行くと、オッサンは渋い声で羊皮紙巻物を読み上げ、宝剣を掴むと俺の肩にトントン。そして剣を横にして受け取れの合図。
あ、なんかこれ知ってるかも。
今さら「イリマセン」とは言えなくなった俺は、売っぱらったら首が飛びそうな宝剣を恭しいフリをしつつ受け取ったのだった。
そしてその瞬間、会場中から歓声が沸いたのだった。




