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しかし、俺たちの行く手をコカトリスやサーペントに乗ったコボルトファイター・エヴィリオンが阻んできた。
ただでさえサーペントやコカトリスは単体でも危険なモンスターなのに、コボルトファイター・エヴィリオンが連携して毒ブレスや石化攻撃、弓攻撃を仕掛けてきた。
突撃する俺たちにとって範囲攻撃がかなり厄介で、うかつに近づけない状況になってしまった。
だがやむを得ない。
中ボスが立ちはだかったのだから、倒せばいいだけのこと。
コボルトキング本体を挟み撃ちにはできなかったが、側近を挟むことはできている。
味方の右翼遊撃もそろそろ合流する。
「全員、まずはコボルトファイター・エヴィリオンを倒すぞ!」
俺はそう叫ぶと、サーペントの毒ブレスにタイミングを合わせてウインドを放つ。
ほぼ同時に、ユリナさんが放った閃光弾がコボルトの乗ったコカトリスの目の前で炸裂。
サーペントとコカトリスが悶え苦しみだした。
たまらずコボルトファイター・エヴィリオンはたまらず降りて一旦コボルトキングの方に退避。
「今だ! 倒せ!!」
数人で横倒しになったサーペントとコカトリスを倒したのだった。
それから右翼遊撃30人と合流した俺たちは混戦に突入した。
コボルトファイター・エヴィリオンがかなり厄介で、サーペントやコカトリスを倒しても、再び別の個体に騎乗して巧みに連携してきた。
それでも何とか戦っていたが、全員満身創痍になっていた。
後ろから押し寄せるモンスターの勢いが弱まる気配はなかった。
そんな時、ふと俺の懐から蒼い光が漏れているのに気が付いた。
見てみると、グラシエスお爺さんからもらった牙が光っていた。
触れてみると、キーンとした耳鳴りとともに。
『個体名:奥田圭吾はグラシエスノヴァLv1を取得しました』
というアナウンスとタッチパネルのような画面がポップアップしたのだった。
「なんだ?」
俺は牙とスキルを鑑定。
【グラシエスの牙:蒼玉竜の牙。神鉄オリハルコンの素材】
【グラシエスノヴァ:グラシエスの牙に大量の気力と魔力を注ぐことで発動する】
何が発動するんだ?
でもスキルの名前的に攻撃技っぽい?
今後ろから押し寄せているモンスターに対処することで精いっぱいで、コボルトキングへの攻めてが不十分になっているなら……。
「ちょっとみんなどいてー!!」
俺は自分の前にいる仲間に声をかけ、試しにグラシエスの牙を両手に持って気力と魔力を注いでみた。
すると、蒼い光の勢いがさらに増したかと思うと、牙の振動とともに一気に光が収束。
あ、これヤバイかも。
「マジでみんなどいて~! ヤバイから!!」
テンパリすぎてアホなセリフを日本語で叫ぶ俺。
だが何かを察してくれたのか、射線上にいたジュノやハインリッヒたちが必死の形相でキャ〇翼の若〇津君ばりの三角飛びを見せた。
ドパアアアア!
ハイ〇ガ粒子砲みたいな蒼いビーム的なものが退避した仲間たちをギリギリのところでかすめ、モンスターの大軍に走ったかと思うと大爆発が起こった。
『個体名:奥田圭吾はLv22になりました。体力48→50、魔力45→48、気力42→47、力49→52、知能90→93、器用さ54→57、素早さ49→51』
『個体名:奥田圭吾はLv23になりました。体力50→53、魔力48→51、気力47→49、力52→54、知能93→96、器用さ57→61、素早さ51→54。物理衝撃耐性Lv3を取得しました』
自分の攻撃の衝撃で物理衝撃耐性のレベルが上がってしまった。
苦戦していたコボルトファイター・エヴィリオンもろとも、背後にいたモンスターの3分の1が消滅したのだった。




