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【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


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k-234

 料理店「子狼の食卓」は連日盛況だった。


 最初こそ物珍しさで来る人も徐々に落ち着いていくだろうと思っていたけど、そんなことはなかった。


 宴会場の2階やVIP室の3階だけではなく、3分の1を予約席とした1階も一か月先まで埋まっている状況になってしまっていたのだ。



 おかげで昼飯や夕食前は長蛇の列ができていた。


 食材の在庫がなくなることもしばしばという感じになってしまった。


 ただ、食材の仕入れはお店の収支を考え計画的に決めているので、客量の短期的な増減に合わせて簡単に変えるのも難しい。(ジャイアントアーチンを~体みたいな感じでクエスト依頼して獲ってきてもらうのだから当然だろう)



 ただそこまで人気が加熱してしまうと、今度はせっかく並んで待ってくれたお客さんからのクレームにも発展しかねない。



 そこで編み出したのが「整理券システム」だ。


 整理券システムとは、並んでくれているお客さんに整理券を配り、オーダーをとってから待ち時間を伝え、名前を呼んだ時にいなければ権利を失う、という日本ではありふれたものだ。


 これにより並ぶ側も待ち時間を把握して一旦移動することもでき(諦めることもでき)、店側も在庫管理、顧客管理がしやすくなる。



 これによって一時の状況よりかなりマシになった。



 あとは何といっても、店員の接客レベルの高さが店の売りの一つになっていた。



 接客スタッフが明らかに足りなかったので、チラシ配布に雇っていた比較的大きな子供を急遽接客スタッフとして採用。



 家でもターニャがアッシュとゴロゴロしていて暇そうだったので、二人にもお店に出てもらうことにしたよ。



 “猫の手も借りたい” とはまさにこのことだ……。



 ところが、これがお客さんの評判となった。



 ユリナさんが作る子供用のメイドっぽい服が破壊的に可愛く、またエプロンをしたアッシュがカゴをくわえて簡単な小皿料理やお菓子を運ぶ姿がラブリーすぎた。



 接客レベルも “蝶のゆりかご” のお姉さま方の指導のおかげで、全く問題ないレベルに。



 美人な女性スタッフ、可愛い子供やマスコットキャラクター(一応いぶし銀な料理長も)と、お客さんからの需要を満たしたことで、男性客だけでなく女性客からの支持を集めることに成功することができたのだ。



 こうして色々試行錯誤した結果、料理店 “子狼の食卓” の客足・リピーターは順調に伸びていったのだった。



「〇×、××△〇〇?? ◇△〇×、〇〇??」



 そんなある日、いつものように店に入って店内の様子を見ていると、いつも決まった時間に来て決まった料理ばかりを頼むリピーター客のお爺さんから声をかけられたのだった。

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