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ボルガさんが従業員候補として連れてきたのは、黒髪短髪の割烹着が似合いそうな料理人見習いボクゼン、白髪を後ろで結わえた褐色肌の眩しい工房職人見習いのブリジットという若者だった。
「「ハジメマシテ、コンニチハ」」
ボルガさんから俺がランカスタ語がわからないこと、日本語をしゃべること、挨拶の礼をすることなど諸々聞いたのだろう。
二人はペコリと90度の角度で挨拶した。
「よろしくな」
俺は二人と握手した。
「テイラーさんもいらっしゃい。立ち話もなんですからこちらへ」
俺は応接セットに4人を案内して話を聞くことにした。
マヤがテーブルに人数分のマーブル草のハーブティとお茶うけに回復クッキーを出してくれた。
「じゃあまずボクゼンとブリジット。キミたちは採用だ。今の実力というよりも、これからの伸びしろに期待している。よろしくな」
「「ハイ!!」」
二人はボルガさんが紹介して良いと思った人材だ。軽く話してみた感じDQN感もない。
鑑定してみたところ、ボクゼンは「料理Lv3」、ブリジットは「鍛冶Lv1、錬金術Lv1」が既についている。
実際に作ったところを見ていないが、それなりに実力があることの証だろう。
「ケイゴ、×〇〇、◇△××◇?」
テイラーさんが料理屋のデザインが描かれた紙をテーブルに広げようとしたので、お茶をテーブルの端に寄せた。
「おお! 可愛い! いいですね~」
「はぅぅっ」
カラフルで可愛いデザインに、俺とマヤからデザインのことを聞きつけてきたユリナさんが声を漏らした。
この雑貨店も可愛いが、ファンシーさではこの料理店というかコンセプトカフェ? も負けてない。
可愛い子狼をテーマにしつつも、料理を出す店に相応しい品も備えている。
レンガ造りのアンティーク感もあって、凄くオシャレでもある。
椅子やテーブルのデザインも細部までこだわりが見え、俺は一目で気に入ってしまった。
「これでお願いします!」
俺が前のめりでそういうと、テイラーさんは胸をドンと叩くジェスチャーをしたのだった。
テンションの上がった俺は、今日は半日営業にして午後は従業員歓迎会を兼ねた宴会をすることにしたのだった。




