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翌日ボルガさんを訪ねた俺は、新しく人を雇うことを相談した。
「で、雇いたい人というのは商品製作と料理の才能のある人で……」
「ナルホド……」
今回新しく雇いたいと思うのは、チャトラだけに任せるのは厳しい工房の強化。料理人は単純に毎食おいしいご飯が食べたいのと、回復クッキーのような料理寄りの商品開発もできるかと思ったのだ。
「ケイゴサン、〇×■△、×■◇〇◎?? トチ、〇△◇、××◇△キンカ660マイ。テーラー〇△◇、1000マイ〇◇。……〇◇、×◎キンカ5マイ、〇◇キンカ3マイ」
ボルガさんは「料理人を雇うならいっそ、料理屋を開いたらどうか?」と言ってきた。
土地は隣の空き地を使えば良く、値段は金貨660枚。テイラーさんの料理屋の建築費込みで金貨1200枚で請け負うとのこと。
ちなみに月給は、料理人が金貨5枚、工房見習いが金貨3枚だそうだ。
安い商売の相談をしに来たのに、高額な取引にもっていこうとするのは、やはりお主侮れぬのお……。
「だが悪い話じゃない」
顧問弁護士や顧問税理士と契約する際重要なのは、単に法律や税務に詳しいかだけで判断してはいけない。
いかに法律家目線でのビジネスの提案能力があるかで判断すべきだと思っている。
懇意にする取引相手を選ぶのもほぼそれと同じで、馬が合うかと同時にキレ者かどうか、こちらが思ってもいなかった提案してくれる人物かどうかで判断すべきだ。
「いいですね。それでお願いします」
ジェスチャー混じりで俺はその提案に乗ることにした。
作る料理屋のコンセプトは雑貨店のデザインに合わせたファンシーで可愛いカフェのようなイメージの店がいいと伝えた。
あとはテイラーさんのデザインを待ちだ。
俺はその場で隣の空き地に料理屋を建てる資金、金貨1200枚と新しい従業員を雇う資金の月の給料前払い分金貨8枚を商業ギルドカードで決済。
あとはボルガさんへの個人的なチップも忘れずにコインで金貨1枚も忘れない。
ボルガさんも忙しいなか時間を割いてくれてるわけだからな。
ちなみにだが、現在の個人カードに記載された預金残高は「子狼のまえかけ」完成時の金貨2500枚から増えて金貨4578枚となっている。
「子狼の里」プロジェクトの方の資金は、俺個人の会社というよりは公共のものに近いので、一応会計を分けるべきではないか? ということをバイエルン様と商業ギルドに相談したところ特別に非課税扱いにしてもらえた。
さらに「子狼の里」名義で預金機能のある商業ギルドカードを発行してもらい、俺がお金の管理をしていた。
「子狼の里」名義の残高は当初金貨1600枚あったものが、なんやかやで金貨958枚まで減っていたので、その場で金貨200枚を専用魔道具で俺の口座から資金移動したいと申し出た。
一応俺が里の経営者ということになっているが、「子狼の里」はバイエルン様や商業ギルドが噛んでいるプロジェクトになる。
使途不明金がないようにするのは勿論、入金に関してもどこから入ってきたお金なのかは明らかにするようバイエルン様、商業ギルドから言われていた。
非課税にする代わりに会計チェックを厳しくするということだな。
ただ今回のような里への入金は、商業ギルド員であるボルガさん立ち合いのもと行うこと、カード間の送金は記録に残るので問題ないとのことだった。
アオーンと変な鳴き声が鳴り、カード残高が金貨4378枚と金貨1158枚に変わった。
なんかW〇ONみたいだ。
「いい取引でした。ありがとう」
「コチラコソ、アリガトウゴザイマス」
俺は挨拶程度の日本語を覚えたボルガさんと握手を交わし、商業ギルドを後にしたのだった。




