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里で保護した人数も30人を超えてきた。
テイラーさんが里の建物を作ってくれているが、それは流石に完成していない。
まともな食事や寝床を与えたおかげか、保護された子供はすぐに元気一杯になっていた。
里には広い敷地があるので、小さな子は雪遊び。働けるような年齢の子で希望した者はサラサやエルザに預けて “物を運ぶ” みたいな簡単な仕事をさせた。
“パブ蝶のゆりかご” のママ、ジョセフィーヌさんが「ウチで働かないかい?」と言ってきたが、丁重にお断りを入れておいた。
子供には刺激が強すぎるからな。
あと里には3つ持っていて余っていたドラム缶風呂のうち2つを進呈することにした。
雑貨店の方にある風呂場にはテイラーさん設計の魔動具式特注風呂が設置されており、旅用に一つあれば残りは不要だったので丁度よかった。
ドラム缶風呂の底には水属性・火属性が付与された金属板が7:3の割合で取り付けられており、自動的に湯が沸く五右衛門風呂のようなものになっている。
子供たちはお風呂に入るという習慣がなく、最初はおっかなびっくりだったけど、
一度お風呂の気持ちよさを知るとハマってくれたみたい。
そうそう。
今我が家にある風呂はドラム缶風呂よりはもうちょっと見た目が豪華で、湯沸かし器(魔道具)からマーライオンのような子狼の石像の口をつたって、タイルのような滑らかで大きなバスタブに湯が供給される仕組みになっている。
バスタブは我が家のルーフバルコニーに設置されており、室内風呂と露天風呂を両方楽しめる設計になっている。
露天風呂は元々高台にある家からの眺めも良く、川の流れる音も聞こえてきて癒される。
そういえば、うちの従業員であるチャトラは錬金術Lv2、鍛冶Lv1になった。
初級のポーションと火属性付与、水属性付与ができるようになったので、マルゴとサラサへ商品を卸す仕事、属性付与した水筒のアイデア商品「湧き水くんβ」と「ポカポカくんα」の生産をある程度任せることができるようになった。
従業員とは企業秘密保持の契約を結んでいるので、秘密が漏れたり引き抜きに合ったりすることはないと思う。(そんなことをすれば商業ギルドから大きなペナルティがあると聞いている)
だが、生産性が上がったのならそれに応じて給料を上げるべきだ。
マヤも貴族やライバル商人との交渉の中でメキメキと実力をつけており、任せられる部分も多くなっている。
マヤを鑑定してみると前にはなかった話術Lv2と表示されていた。ちなみに俺のスキル欄にもしっかり話術Lv3と書かれている。
雑貨店「子狼のまえかけ」は売り上げ、利益ともに伸びている。
そこでまだまだ事業拡大できると踏んだ俺は、二人の給料を1.2倍に引き上げた(休み時間中はお風呂入り放題という福利厚生もつけた)。
同時に新しく何人か商業ギルドから従業員を雇うことにしたのだった。




