(モノローグ・ジョニー)実はツンデレ!? 明かされる情熱モヒカンオヤブンの過去!
俺の名はジョニー。
レスタのギャング「ジョニーと七人の悪魔」のオヤブンだ。
ハインリッヒの手勢を蹴散らしたあと、ケイゴオクダたちと別れた俺たちは近くの町に潜伏した。
貴族に逆らったんだ。レスタの町にはしばらく戻れないだろう。
ところがしばらくして、ハインリッヒが失脚しレスタの町を追放されたという風の噂を聞いた。
そういえば、ケイゴオクダには仲間がいたな。おそらくそいつらが町の人たちを焚きつけたに違いない。
ドニーも兵士長の座に返り咲いたらしかった。
ハインリッヒが失脚し、ハインリッヒの手勢と一緒に戦ったドニーが兵士長になったとなれば事情は変わってくる。
俺は裏ルートで「戻っても大丈夫か」とドニーに確認、レスタに戻ることにしたのだった。
そして俺たちは、アジトのあるレスタのスラム街に戻って来た。
「ああ、くそ。相変わらず辛気臭え場所だな」
陽気が取り柄の俺たちにも辛い過去があった。
俺たちはスラム街の孤児だった。歓楽街で生まれ、捨てられた。
親が誰なのかもわからねえ。
スリや窃盗などは日常茶飯事。ゴミ山で鉄くず拾いをする毎日だった。
それでも俺は、この町が好きだ。
俺たちはスラム街へ出かけ、子供を見つけては仕事を依頼する。
主な任務は、『水汲み』などの、極めて困難な任務だ。
俺たちギャングとスラム街の子供たちは、もちつもたれつの関係なのだ。
俺は、任務を達成したチビッ子の頭を無造作になで銅貨を一枚やるのが日課だった。
俺たちが戻るとチビっ子たちがワラワラと寄ってきた。
「ほら、これでメシでも買ってこい」
俺はハインリッヒからせしめた報酬の残りをガキどもに渡す。
「ジョニー、ありがとう!」
「わかったからさっさと行っちまえ!! ションベン臭くてかなわねえ」
俺がそう言うとガキどもは蜘蛛の子を散らしたよう去っていった。
――これで、今日も凌げるはずだ。
◇
今日もスラム街でガキが二人死んだ。
ここでは単なる風邪も命取りだ。
俺たちはガキの遺体を布でくるみ火葬場まで運んだ。
放っておくとスラム以外まで病気が広まる原因になるので、死体を運ぶと衛兵が金をくれることになってる。
クソが、と思うが金は金。
これでガキどもが食つなぐことができるのなら、ありがたくもらっておく方がいい。
「情けねえ。俺はなんて無力なんだ……」
目から出ているのは汗だ。
ギャングは涙など流さない。
そんな時だった。
「コンニチハ、ジョニー。××〇〇、〇△◇××? 〇〇△◇……」
ガキどもと弔った教会近くにある墓地からの帰り道、ケイゴオクダに再会した。
そんな奴がとある仕事を依頼してきた。言葉は相変わらず通じないので、筆談で。
その内容を聞いて俺は仕事を引き受けることにした。
むしろ俺が引き受けないなどありえないことだった。




