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【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


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 俺の考えた計画はこうだ。


 まず何をするにせよ金がいる。こういうのは、まず誰かが言わなければ動かないものだが、言い出しっぺの俺が金を出す必要がある。


 最近得ることになったスパークリングワインの利益の一部。これを活動資金に充てるつもりだ。


 スパークリングワインは今の所限定生産なので、金持ち貴族が大枚をはたいて買うことになるだろう。


 たんまり金庫に眠らせてあるお金をこちらで吸い取って、貧困にあえいでいるスラム街の子供たちに使うのであれば誰も不幸にならないだろう。



 さしあたり金貨1000枚は出せるので、これを呼び水に協力者を募る。協力の形はお金でもいいし、ボランティアのような手伝いでもいい。


 慈善活動であること、町全体のためになることを丁寧に説明することが重要だ。



 説明先は、この町で俺がもっている伝手をフル活用する。


 バイエルン様、冒険者ギルド、商業ギルド、町議会(マルゴとジュノが議員になっている)、歓楽街(ジョセフィーヌさんの伝手)、建築家のテイラーさんあたりが思いつく。



 あとは何といってもお金を使って何をするかが重要だ。


 俺のアイデアはこうだ。



 プランに説得力をもたせるため、まず助ける対象を未成年である15歳以下に限定して保護して生活力を身に着けるための教育を施す。


 お金は保護する場所を用意するために使う、という非常にシンプルな計画だ。



 子供の中には盗みを働いているような者もいるだろうが、それは保護の対象にするかどうかには関係しない。



 スラム街の環境が子供を犯罪に巻き込んでいる面が大きいからだ。


 なので町の治安維持のため子供を保護し、まともな環境を与えるというのは協力者を募るにあたって説得力が出てくるはずだ。


 なので当面は15歳以下の子供を対象にする。



 16歳以上の大人はそこまで生きてこられた以上、小さく弱い子供たちに比べればそこまで危ない状況ではないだろうと判断し保護はしない。


 だが大人の貧困者も放置でいいということにはならない。


 スラム街を見る限り、死体が放置されているということはないようだが、やっている対処はそれだけのようだった。



 炊き出しをする、病人に薬を届ける、簡単な仕事をお願いする。


 考えれば大きなお金をかけなくてもいくらでもやれることはあるはずだし、こういったボランティア的な活動に保護した子供を参加させることで、きっと良い循環が生まれるはずだ。



 俺は以上の計画を紙にまとめ、同じものをバイエルン様、冒険者ギルド、商業ギルド、町議会用に4通複製した。



「じゃあマヤ。ちょっと外まわりしてくるよ」


「ハイ、シャチョー。イッテラッシャイマセ~」



 ちなみにマヤたちには「シャチョー」と呼ばせている。だってやっていることはメーカー・小売の社長だもの。




 一通り仕事を覚えたマヤとチャトラにお店のことは任せ、計画書をカバンに入れた俺は、バイエルン様の邸宅に向け馬車を出したのだった。

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