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「ユリナさん、ご飯作ったよ。様子はどう?」
「……アリガトウ。コノコ、ダイブオチツイタワ」
俺は、異世界版昆布のジルクート水草でダシを取って作った「お粥モドキ」を3人分トレーに載せて、少女の看病をしているユリナさんのところへ持っていった。
少女はかなり落ち着いた様子で寝息を立てていた。
担ぎ込んだときよりも呼吸は整っており、熱も引いたみたいだ。
俺がオデコのタオルを変えてあげると、少女が目を覚ました。
「あ、おはよう。俺はケイゴ、大丈夫か?」
「……ココハドコ??」
混乱した様子の少女。
それからは、ユリナさんが少女に色々聞いてくれた。
少女の名前はターニャ。スラム街に住んでいる孤児だそうだ。
同じ境遇の少女にユリナさんが心を痛めていた。
一通り少女の話を聞くと、ユリナさんは「治るまでここにいなさい」と言って少女を安心させた。
「じゃあ、冷めないうちにこれ食べよう」
それから俺たちは、皆でお粥モドキを食べた。
二本足で立って「マンマチョウダイ!」をするアッシュを見て、ターニャが笑顔になっていたよ。
アッシュ、ぐっじょぶ!
これだけ話しができてご飯も食べられるなら看病はいらないかもしれないけど、今日は念のため俺とユリナさんで交代で看病することにした。
ちなみにターニャの眠っているベッドはお客さん用。自分たちの寝室とは別の部屋だ。
「ユリナさんは先に休んで。3時間くらいしたら起こしにいくから」
「ウン、アリガトウ」
そう言ったユリナさんは、アッシュと一緒に休んだ。
「お粥モドキ」と「ホットルミーの果実ジュース」で満腹になったターニャもすぐに眠ってしまった。
手持無沙汰になった俺は紙束を取り出して、頭にあった新しい商品の構想を練ったりすることにした。
そうしてしばらく書き物をしていると眠くなりテーブルに突っ伏していたら、いつの間にか眠っていたのだった。




