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【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


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k-213

 雑貨店「子狼のまえかけ」はファンシーな雑貨屋をコンセプトにしており、店員のコスチュームにも余念がない。


 ユリナさんがデザインしたモスグリーン色のまえかけ(エプロン)が、これまた可愛いと評判になっている。


 お店のマスコットキャラクターとなったアッシュが町の婦女子に大人気。


 伝統的なメイド服をモチーフに取り入れた品のある制服を着こなすユリナさんも、男女問わず羨望の眼差しで見られることが多い。


 俺的には嫁自慢が半分、ちょっと心配が半分といったところだ。


 なのでユリナさんには変な輩に襲われたら、迷わずスリングショットで麻痺弾を撃ち込むように言い含めてある。



 開店から一週間、属性付与したアイデア商品を中心に順調に売れている。


 属性ポットの他、風属性と地属性を付与した軽くて丈夫な革靴、カバンも試しに金貨30~40枚くらいで並べてみたら意外に売れた。


 靴やカバン自体は金貨10枚以内のものをサラサから仕入れているので、付与の材料代を差し引いてもそれなりに儲かった。


 この調子なら属性付与した丈夫で軽い革防具とかも売れるかも。マルゴから防具を仕入れれば、ウィンウィンの関係にもなっていい。


 他にも乾燥させたイレーヌ薬草・デルーンの実を生地に練り込みマーブル草で味を調え焼いた「回復クッキー」を並べたら、子供の療養食に良いとお母さん方に評判になった。


 でも……。



「ちょっと手が足りないんだよなあ……」



 ユリナさんが店頭に立ってくれるとはいえ、材料を買って商品を作って店頭に並べて、商業ギルドやバイエルン様に配達もして……、なんてやっていたらあっという間に一週間が過ぎてしまった。



「そういや休みとってないや……」



 これではまるでブラック企業である。これは早急に対策が必要だ。


 なんて考えていると、ユリナさんが工房にやってきて「ハイタツ!!」と言い、冒険者ギルドあての木箱(回復クッキー)を押し付け、慌ただしく店頭に戻っていった。


 ユリナさんも気が張っているみたいだし、こりゃなんとかしなきゃなあ……。



「配達が終わったら商業ギルドに寄って、従業員募集の相談でもしてみるかねえ」



 せめて週に1日はユリナさんとゆっくりできる日がほしい。



 防寒着を着込んで外に出た俺は馬車に木箱を積み込むと、一先ず配達先の冒険者ギルドへと向かったのだった。

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