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【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


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k-209

 レスタに移住すると決めた俺とユリナさんは少しずつ引っ越しの準備を進め、あとは荷物を運べば良いという状態になっていた。


 畑の苗は既に新しい土地に移したし、ハーブ鶏たちもすぐ移動できる状態になっている。


 ただ毒草だけは町の中で栽培してはならないルールになっていた。


 畑の野菜をつまみ食いする子供もいるだろうし、当たり前だろうな。




 そして建物の注文から2週間ほど過ぎた頃、商業ギルドのボルガさんが荷馬車を引いたギルド員たちを連れてやってきた。


 ボルガさんは建物の完成を伝えに来たのと、小屋買取の詳細査定をするために来ていた。


 先日の交渉では、マルゴやサラサから間取りや設備の説明をし金貨1000枚と設定したが、実際に物件を見てプラマイ金貨200枚の範囲で詳細査定するという約束になっていた。


 ボルガさんに小屋を案内したところ、なんと金貨1000枚から1200枚の査定となった。


 難癖つけられて値切られると思っていただけに、拍子抜けだった。


 まあ、ギルド長の娘の知り合いに無体なことはしないか。俺だったら最初少なく見積もっておいてお得感を出し、今後の関係につなげるだろう。



 ボルガさんは商人として中々のやり手のようである。


 彼曰く、石壁のボウガンを見落としていたこと、鍛冶小屋の造りや畑の収穫量からプラス金貨200枚が妥当だろうとの弁だった。


 でも俺にはボルガさんが全て把握した上で、あえて値段を上乗せしているようにしか思えなかった。


 この世界の商人を商社マンとは呼ばないだろうが、やっていることは同じ。



「商社マンのかくもしたたかな生き様よ……」 



 俺は夏のクソ熱い中スーツで汗だくになっていた頃を思い出し、遠い目をしたのだった。



 いずれにせよ臨時ボーナスだ。今日は引っ越し祝いにちょっと豪勢にいこう。



「それじゃあ皆さん、荷造り終わってるんで宜しくお願いします」



 俺はボルガさん経由で引っ越し手伝いを依頼した、ギルド員のみなさんに声をかけ、作業を始めてもらった


 ちなみに引っ越し手伝いの依頼料は金貨10枚だったので、今回の臨時収入と差し引いても余裕でプラスである。



 ということで、俺とユリナさん(+抱っこされたアッシュ)は荷物の積み込みを見届けたあと、レスタの新居(新店舗)へ引っ越したのだった。

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