k-197
「だからドニーさん、なんかそれ光ってますよ」
俺が光ってる玉を指さすと、ドニーさんは、おお! っというリアクションをとった。
ドニーさんは懐から玉をとりだしたので、俺は座敷テーブルの上から料理をよけた。
ドニーさんがテーブルの上に光る玉を置き待つこと数十秒、光が落ち着いてきた。
ドニーさんは光の玉に手を当て、何か言葉を発して覗き込んだ。
するとドニーさんは急に涙し、叫びながら狂喜乱舞しだした。
どうした? 食あたりか?
「ドニーさん、どうしたんですか!」
すると、ドニーさんのランカスタ語が解ったのかユリナさんが俺の浴衣の袖を引っ張り、玉をのぞくようにジェスチャー。
「んん?」
覗いてみると、何やら文字が浮かんでいるのが見える。
このミミズがのたくったような字はランカスタ語で間違いないだろう。
「鑑定」
するとそこには。
【レスタの町でバイエルン様がハインリッヒを打ち負かし復権。ハインリッヒは捕らえられた。兵士長ドニーの追放は取り消され、兵士長職に復権。兵士長ドニーはケイゴオクダ、ユリナを連れ、速やかにレスタへ帰還されたし。サラサ】
と書かれていた。なんだこれ、すげー。
「ユリナさんも見て」
と俺はユリナさんにも水晶をのぞくように促した。水晶を除いたユリナさんもドニーさんとは言わないまでも、アッシュを抱えて小躍りを踊り出した。
「これでようやく帰れるな」
俺も皆の喜びにあてられてか急に嬉しくなった。
俺もアッシュを挟むような形で、ユリナさんと一緒に手をとりあって喜んだのだった。




