蒼の団1
レスタの町の宿「陽だまり亭」。そこは異様な熱気に包まれていた。
宿屋の酒場だったその場所では椅子やテーブルが片付けられ、多くの人が集まっている。
そして人々の腕には蒼い毛皮で作られたブレスレットがつけられていた。
その中にはケイゴに治療され命を助けられた冒険者たちや、ユリナとつながりのある歓楽街の女たちの顔がちらほらと見える。
木のテーブルで作られたステージにマルゴとジュノが上がり全員を見下ろした。
「俺は、マルゴ。レジスタンス『蒼の団』の団長を名乗らせてもらっている。集まってくれた皆には本当に感謝している。ありがとう」
そう言うと、二人は壇上から深々と頭を下げた。人々はマルゴが次に何を言うかに傾聴している。
「今日、この日。ハインリッヒを倒し、バイエルン様を復権させるため。レジスタンス『蒼の団』が結成されたことを宣言する」
聞き入る聴衆。
「ハインリッヒは私欲のためにバイエルン様を軟禁し、何の罪もない俺たちの仲間を捕らえようとしている。俺にはそれが絶対に許せねえ」
マルゴは怒りに手を振るわせる。
「ハインリッヒに追われている仲間の名前を、ケイゴとユリナという。知っている者も多いはずだ。俺は、どうしてもそいつらを助けてえ。賛同してくれる奴は右手を上げてくれ」
そう言うとマルゴは、蒼いブレスレットがされた拳を天井に向けて突き上げた。
そこにいる人々は無言で右拳を天井に突き上げた。全員の表情が「当たり前だ」と言っている。
「まずは、ハインリッヒに軟禁されているバイエルン様を解放する。作戦の決行は今夜だ。では、コードネーム『TSUTSUMOTASE返し』の詳細を副団長のジュノから伝える!!」
マルゴは聴衆に向かってそう言い放ったのだった。




