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【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


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モノローグ・サラサ3

 私はサラサ。


 私にはマルゴの妻であることと、もう一つ『商人』であるという顔をもっている。


 夫のマルゴが、思いつめたような、本当に申し訳なさそうな顔で私に相談してきた。



「ケイゴを助けたい。そのためには、バイエルン様をハインリッヒの軟禁状態から救い出さなければならない。これには、命の危険が伴う。でも俺は、やらないと多分一生後悔すると思うんだ。頼む……サラサ」



 私は夫の決断をむしろ喜んだわ。友達を救うために命をかけられる男なんて素敵じゃない。



「当たり前よ。ケイゴは私にとっても親友なんだから。ハインリッヒなんてやっつけちゃえ。アッシュちゃんを私から奪った天罰が下れば良いんだわ」



 それから私は商人としての伝手をフル活用して、エルザの宿屋に食料、ポーション、武器防具など戦いに必要なものを運びこんだわ。


 二階建ての宿屋は広く倉庫もあってレジスタンスのアジトにはもってこいだった。マルゴはアジトに助け出したバイエルン様を匿うと言っていた。



 既知の信用できる行商人たちには、ハインリッヒの悪事を暴露して協力を仰いだ。戦う者には物資意外にも報酬を支払う必要があった。


 義務感でやっているからいらないというかもしれないけど、命をかけるんだもの、ボランティアというわけにはいかない。


 また、町医者のキシュウさんにお願いし、マルゴからリクエストのあったとある薬を作ってもらった。



 何に使うのかしら?



 キシュウさんもエルザの宿に詰めて、レジスタンスメンバーが怪我をした時の治療役を担当してもらえることになった。



 レジスタンスの名前は『蒼の団』とマルゴが命名した。


 ケイゴの好きな色だからと言っていた。



 私は『蒼の団』のメンバーに配るため、皮職人にブルーウルフの毛皮で蒼い皮のブレスレットを作ってもらった。



 そして救出作戦の決行は明日の夜。



「大丈夫、きっと神様は見てる。神頼みは好きじゃないけど、こんな理不尽神様だって許すはずがないもの」




 夜閉店したお店の中、私はそうつぶやいていた。

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