k-193
森での狩を一通り終えた俺たちは南門からベイリーズの街へと入った。
森ではヘルハウンド3体に囲まれたので、ドニーさん、ユリナさん、ブルーウルフたちと連携して倒した。
複数の敵に囲まれた時に、ラウンドスラッシュとシールドバッシュのコンボが凄く便利だったし、俺の前衛とユリナさんの後方からのスリング攻撃の相性が抜群だった。
そして今回の狩の目的はユリナさんをクラスアップさせ、隣国への検問を通るための身分を得ることだ。
アイアンクラス冒険者と認められれば、それが叶う。
なおドニーさんはシルバークラス、俺はノーブルアイアンクラスなので、クラスを上げる必要はなかった。
冒険者ギルドの受付で、ヘルハウンドの討伐の証である爪を3体分提出すると、ユリナさんのギルドカードがカッパー(銅)クラスからアイアン(鉄)クラスに変化した。
「ユリナさん、よく頑張ったね。えらい!」
俺がそう声をかけると、彼女は笑顔を浮かべて腕に抱きついてきた。よほど嬉しかったらしい。
「これでこの国ともおさらばだ」
人のいる場所に長居は無用。
俺たちはモンスターの換金を終わらせたあと、すぐに東門から出た。西の空では既に太陽が沈みかかっていた。
「さあ。さっさとランカスタ王国からキール王国に渡ってしまおう。今は時間が惜しい」
ユリナさんと、ドニーさんが頷いた。あとは……。
「馬たちには、ここから少し頑張ってもらわないといけないな。……バーニングマッスル! ストーンスキン!」
赤い魔力と土気色の魔力が愛馬たちを包んだ。これでパワーや頑丈さが上がったはず、雪のぬかるみなどにはまることも少なくなるだろう。ちなみにバーニングマッスルを使うのに、あの変な掛け声とポーズはしていないのは言うまでもない。
……ドニーさんが追いついたと言うことは、いつハインリッヒの手勢に追いつかれてもおかしくないということだ。
俺は焦る気持ちを抑えつつ、ブルーウルフに十分警戒するようお願いし、陽が落ちるまで馬車を東へと走らせたのだった。




