モノローグ・ジョニー1
俺はレスタのギャング、「ジョニーと七人の悪魔」の親分、ジョニー。モヒカンをこよなく愛する男だ。
しかし、俺のモヒカンが……。
俺は、鏡で不毛の大地と化した頭を見て、溜息をつく。ついつい癖でマイクシを右手にもってしまう自分が悲しい。
フードを被った謎の老紳士はことあるごとに俺たちに高額の依頼を斡旋してくれる。
最近では、ケイゴオクダというボンクラを拉致るだけで、何と金貨10枚もくれるという破格の依頼を持ってきてくれた。
破格すぎて少し嫌な予感はしたが、断ると逆に危ないような気がした。
どこぞの誰かはわからんが、堪忍してくれ。誰だって自分の命が一番大切だろ?
ということで渋々依頼を引き受けたのだが、予想に反してうまくいかなかった。
火炎攻撃を受け、俺の自慢のモヒカンは焼け野原となってしまったのだ。
成り行きで部位欠損ポーションを飲んだところ、立ち所に俺のモヒカンは復活。
その後再び焼け野原となってしまった今、俺はあの部位欠損ポーションを欲してやまない。
俺のゴキゲンなモヒカンが自慢だった子分たちも、心なしかションボリしているのが物悲しい。
ポーションは欲しいが、これ以上は首を突っ込むべきではないと頭の中で第六感の鐘の音がガンガン響いている。
そんな折のこと。
あの謎の老紳士が俺たちのアジトを訪ねてきた。
「これが最後のチャンスです。ケイゴオクダの追跡部隊に参加してください」
老紳士は笑顔だったが、目が全く笑っていない。眼力がパネエ……。
「「「あ、あにき……」」」
「お、おう……、てめえら逆らうな……」
それから俺と子分たちは、逃げたケイゴオクダの追跡部隊に配置されることになった。
今、俺たちは、馬に乗りレスタから北の町、タイラントへ向かっているところだ。
だが俺たち「ジョニーと七人の悪魔」の方針はケイゴオクダを拉致ることじゃない。
身の安全を第一に考えれば、謎の老紳士の言いなりになることだが、俺たちのモヒカン愛を舐めちゃあいけねえよ?
どうせケイゴオクダの身柄を押さえたところで、俺に部位欠損ポーションをくれる気などあるわけがない。
あんなすげえもの、いくらするのかもわからん。
でもモヒカンを復活させるためには絶対に手に入れたい。
ならばどうすれば良いのか。
それはこのまま味方のふりをして……、あとは言わなくてもわかるだろう?




