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【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


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k-187

 ユリナさんの投球フォームが気に食わなかった俺は、何か彼女に似つかわしい投擲方法はないものかと思案した。


 硬めの木材、あり合わせの金具、動物の皮、そして弾力性に富んだファントムバードの腸をゴムに見立てて組み合わせればひょっとしてアレができないか?


 俺は思いつきを即実行に移すことにした。



「ユリナさん、こっちきて」


「?」



 クエスチョンマークを浮かべながらも、俺に腕の長さを採寸されたり、器具を装着されたりするユリナさん。



 うん、素材の長さはバッチリだ。




 そうして出来上がったものは、アームロック付きのスリングショットだった。



 スリングショットを腕に装着して、石で彼女に試し撃ちしてもらったところ、鍛錬で使っている的をぶち抜くことに成功した。



 慣れていないはずなのにこの威力。


 おそらく投擲スキルやステータス補正が攻撃力に乗っているに違いない。



 そして一番重要なのが、攻撃する際の佇まいが美しいということだ。


 例えばエルフが弓を射る姿は誰もが美しいと感じるだろうが、大股で足を上げて矢尻をぶん投げていたどうだろう? あまり美しいとは言えないのではないか?


 それと同じで、俺は自分の最愛の妻がスカートなのにもかかわらず足を上げて手榴弾をぶん投げる姿をよしとしない。


 自分で教えておいて何だけど、やっぱりちょっと違うかなと思った。


 その点スリングショットなら見た目は弓を射るのとそう変わらないし、攻撃力も申し分ないことがわかった。



 「攻撃スタイルがカッコいい」と誉めてみたところ、彼女もまんざらではない様子で、日が落ちるまで空の木の実をスリングショットで的に当てる練習をしていたよ。



 彼女の表情は真剣そのもので、自分も守られているだけじゃ嫌なんだということがとてもよく伝わってきた。



 俺はそんな彼女の意志を邪魔しちゃいけないと思い、練習でお腹がなる時間を見計らって、夕飯の準備をすることにしたのだった。

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