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【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


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 地図ではタイラントから出てベイリーズ市までまだ半分と言ったところか。


 俺は地図に描かれた森や川などの地形の特徴と、目で見た風景を照らし合わせて推測した。


 特に急ぐわけではないし、むしろ街中に入ると逆に危険かもしれない。ゆっくりのんびり人気のないところでキャンプでもしてた方が見つからないんじゃないかとすら思っている。


 それにユリナさんが意外と戦闘面での成長著しく、もし何かあった場合には活躍してくれそうだ。


 彼女には傷ついてほしくないのだが、むしろ彼女が強くなることで身の安全が保たれるのなら、むしろ積極的にレベルを上げていった方がいいんじゃないかと考えを改めることにした。


 実際に体力や力のステータスも1の状態から底上げされていってる。病気にも強くなるだろうし、上げない手はない。




 俺とユリナさんは森林地帯を抜けた場所で野営することにした。


 と言っても調理スペースは馬車の中だし、野営作業でやることといえば風呂を沸かすことくらいだ。


 本当に便利な馬車だ。



 今日の晩飯はファントムバードの肉だ。肉はシンプルに照り焼きにしたのだが、特徴的だったのが肝臓だ。


 なんというか軽く舐めてみたところ、鳥レバーをさらに濃厚にしたクリーミーな味がした。あん肝のように口の中でとろけた。



 こ、これは……!? なんというか人生に一度だけ食べたフォアグラの味だった。



 俺は思わぬ高級食材に歓喜。


 これは貴族に高値で売れそうだ。まあ、売らないけど。


 フォアグラはオーソドックスにソテーにすることにした。


 赤ワインに似たバルゴの果実酒と砂糖、フルーツを煮詰めた甘めなソースを作る。それから、フォアグラを1cm程度にスライスして表面がカリっとする程度焼いたものに先ほどのソースをかけて完成だ。


 ファントムバードの通常部位は名古屋コーチンも真っ青な程の美味な鶏肉だった。


 それに加えてフォアグラのソテーがやばすぎた。



 ユリナさんも料理を口にして目をまんまるにして驚いていたよ。


 アッシュもブルーウルフたちも大喜び。君たちは何という贅沢な犬なんだ……。あ、いや狼か。



 さてさて食事を堪能したところで、怪鳥爆薬と揮光石あたりの実験をしようかなと思ったのだが、風呂上がりということもあり急に睡魔が襲ってきた。



「うん、やっぱ今日はやめよう。ふあああ」



 盛大なあくびをした俺は、馬車の中の布団に潜り込むと、のび太くんもびっくりなほどの速さで眠りに落ちたのだった。

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