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【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


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k-183

『個体名:ユリナはLv4→Lv7になりました。体力4→8、魔力4→10、気力5→9、力7→10、知能7→11、器用さ35→42、素早さ6→10。スキル投擲Lv2を取得しました』



 ファントムバードの解体をしていた俺に、ユリナさんが嬉しそうにレベルアップ画面を書き写した紙を見せてくれた。



 こういうときどういうコメントをするべきなのか。それが恋愛において最も重要なことだと思っている。


 俺はなぜか知能が90もあるんだけど、最初からステータスが高かった。彼女の知能ステは俺よりも低い。女性なので体力面でも俺より低い。


 男は兎角女性に対して自慢したり上から目線でマウントをとりがちだけど、それは多分恋愛のアプローチとしては間違っている。


 「俺よりも知能低いね」などと言ってはいけない。


 こういう場面では、良いところを探してほめてあげるべきなのだ。


 何かコメントを求められたときには必ずほめて女性を喜ばせてあげるようにしよう。


 俺は、彼女のステータスで良いところを探してみた。



「ふむ」



 ユリナさんは手先が器用で裁縫が得意なだけあって、器用さが異様に高い。なので俺はそこをほめてあげることにした。




「ありがとう、ユリナさん。裁縫が得意なだけあって器用さ高いんだね、すごいね」



 俺は縫い物のジェスチャーしつつ彼女をほめ、ステータスが書かれた紙を彼女に返したのだった。



 その言葉に満足したのか彼女はとても嬉しそうにしていたよ。ほら言った通りになったろ?




 さてさて、ファントムバードの解体の続きをしようか。



 羽はかなり品質の良いものらしく、羽毛布団や羽毛枕、クッションにすると良さそうだ。裁縫が得意なユリナさんもいることだし、馬車に積めるだけ持って行こう。


 あとは肉がウニに引き続き「超絶美味」だそうだ。どんな味がするのか晩飯が楽しみだ。


 腸などの臓物は食べられない部分は捨てるところだけど、「非常に弾力性に富んだ

素材」という鑑定結果が出たので、一応水で洗って持っていくことにした。


 そして大切なのが「怪鳥爆薬」と鑑定に書かれた羽下にある羽攻撃の射出機構に入っていた爆薬だ。


『怪鳥爆薬:羽攻撃の際に羽を射出するのに使われる爆薬。魔力を込めることで視認できる距離であれば任意のタイミングで爆発させることができる』



 おそらく蜘蛛爆薬と同じようなものと思われるので、ユリナさんの手榴弾作成に使えるかもしれない。ただ蜘蛛爆薬違うのが、「魔力を込めることで任意のタイミングで爆発させるられる」という点。


 ただ衝撃で爆発しない保障はない。


 俺は爆薬への衝撃を和らげるために、布を何重にもした袋の間にさらにファントムバードの羽毛を入れたクッション袋に怪鳥爆薬を採取していった。


 怪鳥爆薬があると知ったユリナさんは解体作業は苦手だろうに、自分から率先して怪鳥爆薬の採取を手伝ってくれたよ。



 怪鳥爆薬についても要検証だな。




 解体作業を終えた俺たちは、とりあえず森を抜けることにした。



 最悪森での野宿もできなくはないが、他にもモンスターが出そうなので、できれば見晴らしがいい場所がいい。



 それから馬車を進めること数時間、ようやく木々の合間から夕日が差し込んできた。


 森を抜けたそこは川以外、殆ど何もない見通しのいい場所だった。



 川面に茜色の夕日がキラキラと反射してとても綺麗だ。




「よし、抜けたぞ。ユリナさん、今日はこのあたりでキャンプしようか」


「ウン、ワカッタワ」



 俺は夕日を浴びて眩しそうに目をすぼめるユリナさんに声をかける。すると……。



「ワン!」


「こら、アッシュ! 大人しくしてろ!」


「アッシュアブナイ!」



 夕日を浴びて茜色に染まる雪原に、アッシュが今にも飛び出そうともがきだした。


 手綱を握る俺の代わりに、もがくアッシュを抱っこしてなだめるユリナさん。



 結構ここは危険な場所だし、何ならさっきまで命の危険があったのに、やけにほのぼの幸せだなあ、などと思う俺であった。

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