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翌朝からはユリナさんも一緒に鍛錬を始めた。
彼女の装備は昨日属性付与した革の防寒具一式と適当な木材で作った木の盾。それとウインドアースダガーだ。腰には二種類の手榴弾とダガーの鞘をぶら下げている。
彼女にはダガーで突きと袈裟斬り、そして手榴弾の代わりに石を的に向かって投げる練習をしてもらった。
一生懸命練習しているのだけど、それが何かめちゃくちゃ可愛かった。
何だろう……、ゴルフを彼女に教える彼氏の気分ってやつ? ゴルフはやらないんだけどさ。
朝の鍛錬を切り上げた俺とユリナさんは余ったマーマン肉を使ったスープとパンで軽く朝食をとった。もちろん鍛錬の時からアッシュも一緒だよ。
さて、今日はちょっとやりたいことがあるんだ。
これからやる作業はちょっと危ないので、ユリナさんに足元でウロチョロするアッシュを預ける。
それから俺は、河原の雪をヘルファイアソードの火球でとかして地面を剥き出しにしてみた。
「やっぱりか……」
剥き出しになった河原を鑑定してみると、緑耀石と黄硬岩がそれなりに見つかった。
調べていると他にも光属性を持つ揮光石を発見した。案外鑑定せずにスルーしていたなと反省。
光属性も気になるところだけど、今日の目的は風属性と地属性の有効利用だ。
まずはユリナさんの盾を加工しよう。
補強用の鉄の板を叩いて薄く伸ばし、砥石で研いで風属性と地属性を付与。訓練で使っていた木の盾に貼り付ける。
これで丈夫で軽い盾になるはずだ。
盾はあまり力のないユリナさんに試しにもってもらい、無理のない重量に調整しつつ作ったよ。
それで、今日やりたかったことというのが馬車の改良だったりする。
ロシナンテ(牡馬)とメイクイーン(牝馬)は力持ちだけど、馬車が軽ければもっとスピードが出ると思うんだ。その分多く荷物も積める。
風属性を付与すると重量が10%減になることがわかっている。これを利用しない手はない。
そこで馬車を丸ごと属性付与したいところだけど、そんなに作業は簡単じゃない。今日のところは幌からだ。
俺はブラシと緑耀石と研磨石を砕いて混ぜた粉を手に、幌の外から丁寧にブラッシングしていった。その結果。
【ウインド幌:風属性が付与された馬車の幌。重量−10%、馬車馬に素早さ+3補正】
「ネーミングセンス……」
俺はポップアップした鑑定結果の文字を見て、思わずそうツッコミを入れたのだった。




