k-178
翌朝、河原でウナギ……ではなくサーペントの骨など捨てる部分を地面に穴を掘って埋めていると、二種類の鉱石を見つけた。
【緑耀石:風属性の魔力をもつ鉱石】
【黄硬岩:地属性の魔力をもつ鉱石】
ファイアダガーの素材になった火炎石の親戚かな? ハンマーと砥石は持ってきているのであとで試してみよう。
それから俺たちは荷物をまとめ馬車を川沿いに進めることにした。
半日ほど進み、野営ができそうな川沿いの空き地を見つけた。
あたりにモンスターがいないか確認するため馬車を降りようとすると、アッシュを抱っこしたユリナさんも一緒に行くと言って聞かなかった。
ユリナさんはサーペントとの戦闘で、何かに目覚めてしまったのかも……。俺としてはあまり危険なことをしてほしくないんだけど。
それでも彼女は自分の身は自分で守れるようになりたいと言う。
この異世界は平和ボケした日本とは違って、簡単に命を落とすような世界だ。むしろ彼女のような考え方をする方が普通なのかも知れないなと思った。
それからユリナさん、アッシュを連れて川辺に移動。
まあ、モンスターが出るとしたらここなんだよね。すると案の定。
ザパア
「あ、やっぱりいたか」
アッシュが警戒の唸り声をあげた方向にマーマンが3体現れたのだった。
水弾を撃たれる前に先制攻撃だ。
「ユリナさん、マヒ!」
「エイ!」
ユリナさんが乾いた木の実の殻とグリーネ麻痺草で作った麻痺弾を投擲、マーマンの頭に命中し爆発した。
不幸かな、密集したマーマンたちは麻痺草の粉末をきっちり吸い込んでしまったようで、煙が晴れた後にはピクピクと痙攣して動けなくなっていた。
「ユリナさん、グッジョブ!」
俺がそうユリナさんに声をかけると、彼女は嬉しそうにガッツポーズをした。こちらの女性は本当にたくましいね。
彼女のレベルがあがるかもしれないので、ウルヴァリンサンダーソードを彼女と一緒に持ってマーマンにとどめを刺した。
彼女に「レベルが上がった?」とジェスチャーで聞いたところ、上がったそう。
どうやらポップアップ画面や不思議な音声は俺だけに聞こえるものではないようだ。
彼女には画面に表示されたステータスを紙に書き写してもらった。
そして目の前にはマーマン。
肉や鱗は有用なので解体しないと。今日はマーマンの肉で何かを作るとしよう。
「ユリナさんが今日みたいに戦闘をするなら、何か防具を作らないとなあ……」
今ある素材で何かできないだろうか。
俺はマーマンの解体をしながらそんなことを考えていたのだった。




