k-173
「ケイゴ……オハヨウ……」
翌朝、ユリナさんが目を覚ました。俺はというと、夜中に目が覚めてから、ずっと寝ずの火の番をしていた。
だが不思議と眠気はなかった。
全く眠っていなかったというわけではないし、目を閉じて座って体を休めていたからな。
休息は十分とれている。
「おはよう、ユリナさん」
俺はユリナさんのほっぺたに目覚めのキスをする。おでこに自分のおでこをくっつけてみたけど、熱はもう殆どないように思える。
「多分大丈夫だと思うけど、油断は禁物。今日一日安静にしていてね」
俺は日本語でそう言いながら、眠っているようにとジェスチャーで伝えた。ユリナさんには通じたけど、ちょっと不服そうな顔をした。
そんな仕草もめちゃくちゃ可愛い。
「あ、そうだ。寝汗を拭くね。あと着替えも」
ユリナさんは沢山汗をかいているはずだ。俺はヤカンのお湯でタオルを濡らして、ユリナさんの身体をタオルでふいてあげた。
ユリナさんのパジャマはすっかり汗で濡れていたので、着替えてもらった。
ユリナさんのお腹が可愛く音をたてたので飯を作ることにした。それにさっきからアッシュが「ごはんちょーだい!」とかなりうるさかったからな。
今日はムレーヌ解毒草と根菜類、川で採った魚介類でスープを作ることにした。昆布で出汁をとり塩で味を整える。
他には鹿肉をローストにしたものを薄く切り、イレーヌ薬草と果物を添え、肉汁ソースをかけたものを作った。
パンの代わりに仕入れた小麦粉、砂糖、卵、ミルクでパンケーキを作ってみた。隠し味にチーズを入れてみた。また仕上げに集落で譲ってもらったラズベリーに似た果物を添える。
その料理をユリナさんに食べてもらったところ、目を見開いて喜んでくれた。この調子なら大丈夫かな?
食後に白湯とパルナ解毒ポーションを飲んでもらい、横になってもらう。そんな顔をしてもダメですよ? 安静にしてください。
いっぱいご飯を食べたアッシュをトイレがてら外に出してやったけど、いつもなら外で日が暮れるまで遊んでいるだろうに、ユリナさんにくっついて離れなかった。
ユリナさんのことが心配なんだね。




