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【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


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k-165

 13:00

 軽く昼食をとった後、俺とユリナさんは釣りを楽しむことにした。川に昨日大立ち回りをしたせいか、モンスターはいなかった。


 もしいたとしてもブルーウルフたちが守ってくれるので、ユリナさんが近づいても大丈夫だろう。


 俺は釣り場でユリナさんが温まれるように焚き火をしつつ、準備をした。



 それから釣りを始めたのだが、待ち時間はかなり暇だった。


 竿を見るのはユリナさんに任せ、俺はファイアダガーを作ることにした。砕いた火炎石とフェムト石を砥石に振りかけ、ダガーを砥ぐことにする。


 今後村や集落に立ち寄った際、物々交換で喜ばれるかもしれないからな。冬の寒い時期だ。お金などよりも物や食べ物の方が小さな集落ではきっと喜ばれるに違いない。


 それに町で売れば金貨数十枚にはなるので、やっておいて損はない。お金も無限にあるわけじゃない。稼ぐことも一応考えておかないとな。



 それにも飽きた俺は、タイラントで買ったリュートの練習を始めた。リュートを和音でポーンと鳴らすと、アッシュがそれに釣られて「ワオオオーン!」と鳴いた。


 歌っているみたいで可愛かったので、俺は練習そっちのけでアッシュと遊んだ。



 ……ああ、いかん。釣りをしてたんだった。


 ユリナさんが俺の犬バカ……、狼バカっぷりに少し呆れた顔をしていた。


 最初ユリナさんは釣りに苦戦していたが、俺も一緒に竿を引いてあげるなりして、コツを教えるとだんだんと上達してきた。


 ユリナさんも手伝ってくれたおかげで、異世界版鮎のトゥカリュスが沢山釣れた。今日の晩飯は魚料理にしよう。



 16:00

 風呂を沸かしつつ晩飯の用意をする。


 木の枝をダガーで削り串に。アユを串刺しにしてトゥカリュスの塩焼きを作った。トゥカリュスを三枚におろして刺身にすることも忘れない。


 定番だが、これがまた美味いんだ。採れたて新鮮に勝るスパイスなどないと思っている。


 そして今日の酒はエールだ。


 ゴクッゴクッ。ぷはー。


 刺身と一緒に流し込むエールは、のどごしがたまらなく美味い。ユリナさんも一緒にエールと魚料理を楽しんでホクホク顔だ。


 ブルーウルフが数頭こちらへ寄ってきたので、トゥカリュスの塩焼きを分けてやった。アッシュと一緒にハグハグと食べていたよ。


 ユリナさんはアッシュと一緒にお風呂に入った。サラサもそうだけど、みんなアッシュが大好きだよな。


 俺も一緒に入りたいんだけど、まあ仕方ない。


 アッシュはユリナさんの心強い護衛だからな。



 ユリナさんが上がった後に、俺も風呂に入ることにした。



 雪がちらついているので、今日は雪見風呂と洒落込もう。



 ふー。冷えた身体が芯から温まるのを感じる。


 パチパチと爆ぜる薪の音だけが聞こえる。いつにも増して静かな夜だった。



 19:00

 ユリナさんは湯冷めしないうちにと、先に布団に入ってもらっていた。俺も身体が温まったところで早めに眠ることにした。


 もちろん「おやすみハニー、愛してる」と言って、彼女の可愛いほっぺたにチューをするのは規定事項だ。


 これをしておかないと、今朝のように彼女のほっぺたが膨らむ事態となるからな。


 「そんな小っ恥ずかしいことできるか!」という日本人的なマインドでいると、いきなり離婚届(異世界にはないけど)を突きつけられる事態になりかねないのは現代日本も異世界もどうやら同じらしい。



 俺はランタンの火を吹き消し目を閉じると、ユリナさんとアッシュの温もりを抱いて深い眠りに落ちたのだった。

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