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【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


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k-161

 スキルの訓練をした後、食料や酒も多めに調達することにした。


 ブルーノさんから教わったスキルだけど、シールドバッシュは盾で敵を殴りつけたり押し戻したりする技、ラウンドスラッシュは円形にグルリと横に一回転しながら敵を斬りつける技だった。


 この二つは複数の敵と防御しながら戦うような場面で重宝しそうな技とのこと。


 その昔ブルーノさんは「疾風のブルーノ」と呼ばれ、かなり腕のたつ冒険者だったらしい。(看板娘ヤオラン談)


 そうそう、芸術の町だけあってブルーノさんの店にはリュートが置いてあった。ギターをかじっていたことがあるので、金貨3枚、銀貨8枚で購入した。弾き語りでも練習しよう。



 そして今、新調した幌馬車で食糧を買いにきているのだが、馬車が大きくなった分、荷台が広くなり積載量が増えたのが地味にありがたい。


 食糧の他には、焼き台と木炭が売っており料理に便利そうなので仕入れることにした。



 御者台の上から眺めていると、心なしかロシナンテ(馬)も相方のメイクイーン(馬、命名俺)ができて嬉しそうだ。


 御者台や居住スペースもかなり広く、雨風を凌げるつくりになっているので、買って正解だと思った。



 俺は小僧にさらに追加で銀貨を握らせ、荷物の積み替え作業をやってもらった。



 宿に戻るとユリナさんはゆっくり休めたのが良かったのか、元気そうにしていた。せっかくなので俺とユリナさん、アッシュで町の観光をすることにしよう。



 俺とユリナさんが仲良く恋人つなぎをしてゆっくりと道を歩く。足元ではアッシュが俺たちを時折見上げながら半歩前を歩いている。


 雪の中、ピエロがダガーでジャグリングをしていた。


 ジャグリングが終わるとピエロは帽子をくるりと回し投げ銭を要求した。俺はユリナさんに銅貨を3枚渡し、二人で投げ銭をして拍手を送った。


 ジャグリング以外の大道芸人、似顔絵師、楽士と広場は賑わっていた。


 俺とアッシュを抱っこしたユリナさん、という構図で絵を描いてもらったが、予想以上に上手かったので銀貨2枚のところ倍の4枚を渡した。


 俺たちは屋台で肉や貝類の串焼きを買って食べ歩きながら、芸を楽しんだ。




 広場の中心には大きなテントがはってあり、どうやら舞台が行われていルようだった。


 俺たちは三人分の見物料、銅貨9枚を払ってテントの中に入った。


 すると、観客の熱気と歓声が俺たちをつつみこんだ。舞台上では演劇が繰り広げられていた。


 手を繋いだユリナさんの表情がパッと輝く。俺は舞台よりもユリナさんの嬉しそうな表情が見られてとても幸せな気分になった。



 俺たちは演劇の鑑賞を終えたその足で宿をチェックアウトし、タイラントの町を後にすることにした。


 貴族から逃げている今、町に長居しても良いことはないだろうからな。




 そしてその予感は的中していた。俺たちは危機一髪でハインリッヒの追っ手から逃れたことに、全く気がついていなかった。

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