k-159
俺とユリナさんは死んでしまったブルーウルフの墓を作ることにした。
俺が手頃な木材で墓を作っている間、手芸の得意なユリナさんがとってあったアッシュウルフの牙と革紐でお供え用のネックレスを作ってくれた。
昼下がり。ようやくブルーウルフのお墓が完成した。
俺はユリナさんから受け取ったアッシュウルフの牙で作ったネックレスをポケットから取り出すと、お墓の十字架にかけてあげた。
きっとこのブルーウルフはアッシュの面倒を見ているからこそ、俺たちを守ってくれている。
このブルーウルフにとって、上位個体であるアッシュの母親はきっとご主人様のようなものなんだろう。
ブルーウルフ。こんな寂しい場所に埋めることしかできなくてごめんな。
でもお前が寂しくないように、せめてご主人さまと一緒に弔ってあげるからな。
「いつも俺たちを守ってくれてありがとう」
それから俺はブルーウルフがいつも好んで食べていたシカの干し肉を墓前に供え、手を合わせた。
そしてユリナさんもそれにならって手を合わせる。
そんな俺たちを見て、アッシュが晴れ渡った蒼穹に向かって遠吠えをした。
するとそれに続き、いつの間にか沢山集まってきていたブルーウルフたちが一斉に遠吠えを始めだした。
俺はその遠吠えに、まるで勇者の凱旋を祝福しているような凛とした強さを感じた。
俺はその光景が単純に幻想的で美しいと思った。




