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【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


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k-158

 ギエエエエエエ!


 翌朝、おぞましい化け物の鳴き声で叩き起こされた。


 その声に反応したアッシュが森の方に向かってうなり声をあげて警戒している。



「アッシュだめ。ユリナさん、アッシュと一緒に隠れてて」



 俺はアッシュを抱き上げると、レッドグリズリー毛皮布団と一緒にユリナさんに預ける。毛皮布をかぶっていれば、とりあえず石化の視線攻撃は防ぐことができるからな。


 ジェスチャーで馬車の荷台に隠れているように言うとユリナさんはアッシュを抱っこしつつ荷台の影に隠れた。



 俺も急いで装備を整え、鳴き声のした方向を注意を向ける。


 すると重い足音とともに、樹木を薙ぎ倒しながら巨大なモンスターが近づいてきた。


 それは何度も苦しめられた、強敵のコカトリスだった。



 「まじで勘弁してくれよ……」



 サーペントを一人で何とか倒せるようになったが、コカトリスは未だ一人で倒したことはない。


 コカトリスは石化攻撃や毒攻撃を使う強敵であり、一人で倒す自信などあるわけがない。


 サーペントを一人で倒せたのは鑑定でわかった弱点のおかげであり、弱点攻撃なしでは今も勝つことはできないだろう。


 ん? 待てよ?



「とりあえずダメ元で。鑑定」



 【コカトリス:鶏頭、尾が蛇、石化の視線攻撃、毒のブレスを吐く高レベルモンスター。ライトの魔法で目をつぶせば石化攻撃を防ぐことができ、毒のブレス攻撃をウインドの魔法で逆流させることで敵をの行動を封じることができる】



 弱点!? しかも光と風の基礎魔法で対処可能なのかよ。


 これまでこいつらに何度も殺されかけたのは一体なんだったのか。森のダンジョンとかな。



 グルルルルルル



 驚愕の事実に愕然としていると、いつの間にか俺の隣にブルーウルフが3体が並び、うなり声をあげていた。



「ブルーウルフ、ありがとな。後できっちり干し肉あげるからな!」



 俺は敵を見据えながら、ブルーウルフたちに礼を言った。


 コカトリスとの距離は30メートル……、20……、15……。


 そしてブルーウルフたちが一斉に飛びかかるのと同時に俺は、


 「ライト!!」


 コカトリスの目に向けて光球を放つ。光がはじける。


 ギエエエエエエ!


 これで石化攻撃は封じることができたはずだ。


 ブルーウルフが敵の滅茶苦茶に振り回される爪と蛇の攻撃を交わしつつ、攻撃を加えている。


 その隙に俺は、ドヌール毒の矢を使い、コカトリスの胴体に向けシャープシュートを放つ。


 ドス ドス ドス


 矢が刺さり暴れ回るコカトリス。しかし突然、


 ブワアアアア


 動きの鈍くなってきたと思って油断したコカトリスが、ノーモーションで毒のブレスを吐いてきた。


「逃げろ!!」


 まずい!? この距離ではウィンドが間に合わない!


 ジュワッ


 ブルーウルフの一体が毒のブレスをもろにくらってしまった。


 ビクンビクンと痙攣するブルーウルフ。


「ウインド!!」


 毒のブレス攻撃を狂ったように乱発するコカトリスに向けてウインドを放つと、毒が逆流しコカトリスの頭部に毒が直撃させることに成功した。



 ギエエエエエエエエエエ!!



 恐ろしい雄叫びごえをあげて、地面をのたうち回るコカトリス。


「今だ!! 仕止めるぞ!!」


 動けるブルーウルフ2体がコカトリスの下半身に食らいつき動きを封じにかかった。


 それと同時に俺はヘルファイアソードで渾身のバッシュをコカトリスの首に向けて放った。



 ザンッ!



 俺は、コカトリスの首を焼き切ったのだった。



『個体名:奥田圭吾はレベル19になりました。体力43→45、魔力39→40、気力38→40、力46→47、知能87→88、器用さ50→51、素早さ46→47』



 俺はすぐに毒のブレスをくらってしまったブルーウルフをパルナ解毒ポーションで治療しようとしたが、彼は既に事切れていたのだった……。

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