モノローグ・ユリナ3
私を襲った町のギャングから逃げるために、彼は私の手を引いて一緒に逃げてくれた。
馬車での道中彼は私に何度も好きだと言いながらキスをしてくれた。外は雪で寒いけれど、心はとても暖かかった。
私たちはレスタの貴族様から追われているみたいだった。こんなに誠実で優しい彼がお尋ね者のはずがないので、それは私の彼が実は凄い人だということを意味していた。
私は逆にそれがとても誇らしかった。
それから彼の小屋を出ることになり、彼からのプロポーズを受けた。
彼は一輪のユリファの花を差し出し、たどたどしいランカスタ語で「愛しています。結婚してください」と言った。
足元には私たちを見上げる可愛いアッシュくん。
ふふ。アッシュくんが神父さんなんて、何て素敵なプロポーズと結婚式なのかしら。
もちろん私は「はい……」と返事ををしたわ。幸せすぎて明日には死んじゃうんじゃないかって思ったわ。
結婚した私は、父から虐待を受けていた頃の傷を彼に隠し通せなくなくなった。
虐待を受けていたことを話すと、彼は怒りに手を震わせていた。
彼はポーションを取り出し私に飲ませてくれた。
すると見る見る虐待の傷がカモフラージュで掘ったタトゥーもろとも無くなり、傷ひとつないキレイな身体になった。
驚きを通り越して呆れたわ。長年のコンプレックスをこんなにも簡単に消してくれるなんて。
私の夫はきっととんでもない魔法使いか何かね。
私は彼のことがますます好きになり、彼に抱きついて思いきり子猫のように甘えた。
彼の名はケイゴオクダ。私の愛おしい人。




