表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

176/617

k-138

 翌日、畑で葉っぱをいじりながら、俺は物思いに耽る。


 日本にいた頃の記憶で、「布団の中で寝ていても何も変わらない」という何かの歌詞があった。


 同様のニュアンスだと思うが、「8040問題」とマスメディアが作りあげた言葉があった。


 引きこもりの40代が、80代の親に養ってもらっているのが問題なのだそうだ。


 俺は思う。


 モラトリアムの何が悪い。


 第三者が他人に何かをしろと言うのは間違っている。


 社会は個人のためにあるのであって、個人が社会のためにあるわけではない。


 何かをしろと他人に命令することは、個人を社会の犠牲にすることだ。


 俺は、社会が社畜を強要することの罪深さは身をもって経験している。


 生き方など、個人の自由だ。



 結局行き着く先は、お金の問題なのだろう。


 80代の親に寄生するのは褒められたことではないが、双方の合意があれば問題はない。


 親が心配しているのは、自分が死んだ後のことだ。


 しかし、俺はこのような状況に置かれてみて、リアルぼっちになった状況?


 それがどうしたと言いたい。


 人間、リアルぼっちになったならなったで案外何とかなるものだ。この世界には、生活保護なんてものはないのだ。


 だから俺は、社会から強制されずに、ダラダラ自由に生きたい。


 一日中小屋にひきこもって書き物をしたり、一心不乱に畑を耕したり、薪を割ったり。


 ポーション作成や鍛冶だって、誰に強制されたわけでもない。マルゴに卸しているものも、あくまで友人関係の範疇でしかない。


 俺もレスタの町の人たちに世話になっているので、全くの自給自足をしているわけではないが、それでもそう思う。


 俺の悪い癖だな。



 ――自由は理不尽に奪われる。



 冬の足音が聞こえてきている。町に行くのも既に億劫になってきた。


 俺は再び、人間との関係を断絶したいという衝動に駆られていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ