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【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


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モノローグ・ピレニー1

 あたいはピレニー。「蝶のゆりかご」で町の男相手に働くいわゆる夜の女ってやつだわさ。


 あたいらみたいな夜の女は男を本気にさせてなんぼの商売。もちろん気に入った男には体を許すこともあるし、今までだってあったわ。


 だけど男から安い女だと下に見られるのは我慢ならない。夜のおんなにだってプライドってやつがあるんだわさ? うちのママにも「女は舐められたら終わりだよ、しっかりおし」っていつも言われてるからね。


 最近我慢ならないことがあった。常連客だった男やもめ武器屋のマルゴが商人の娘と結婚したのだ。マルゴが亡くなしたイザベラさんは知人でね。小さい頃よくしてもらってた。あたいはマルゴは生涯イザベラさん一筋で独身を貫くもんだと思ってた。


 そんな寂しい男だってわかってるから、あたいは自慢の胸でいつもマルゴを慰めてあげてたのさ。


 それがなんだい、結婚しただって!? しかも結婚だけに飽き足らず、孤独な友人に女を作らせるってのを口実にまた性懲りも無くあたいに抱きつくなんてどういう魂胆してるんだい!


 これはお灸を据える必要がありそうだわね?


 あたいはマルゴの服の中に確実に見つかるように工夫して、ある罠をしかけたわさ。


 普通だったら金蔓が切れるようなことはしない。でもマルゴあんたは別。イザベラさんにはあたいも世話になった。だからこれは選別だわさ。商人の娘とやらを大事にして、もうこの店には来るんじゃないよ!!


 もしかすると、あれが原因で破談になるかもしれないけど、その時はその時その程度の関係だったってことだわさ。それならそれで、また相手あげるだわさ!



 それにしてもあの髪の黒い男、ケイゴといったかしら。いい男だわね? マルゴと一緒に来たときはユリナに相手させたけど、あたいも自慢の胸で狙い撃ちしちゃおうかしらん? お金ももってそうだし、有能そうな匂いがぷんぷんしてるじゃない?



 ……あらでも残念、ユリナが気に入っちゃったみたいだわさ。それにユリナはあたいの可愛い妹みたいなものだしね。ユリナもあたいらと同じくあまり幸せな人生を送ってきたとは言えないから、せめてこれからの人生はいい男を捕まえて幸せになるんだよ!


 あら〜! 本と服のプレゼント交換なんてス・テ・キ! お姉さん興奮しちゃうわ。氷の魔法をそんなにオシャレに使うなんて、なんてステキなの!? ユリナじゃなくたって、あたいもメロメロになっちゃう!



 ……ユリナ? もしその男がいらなくなったら、あたいに譲ってねん?

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