モノローグ・マルゴ5
俺はマルゴ。最近新しい妻を娶った。
サラサという女だ。炎のように美しく、気性も激しいところがまた良い。親友だったのが、恋人になりいつしか求婚していた。
俺は幸せだった。幸せすぎて目が曇っていたのだろう。幸せの裏にはこんな恐ろしい落とし穴が待ち構えているとは、露ほども思ってはいなかった。
……
俺にはケイゴという親友がいる。
こいつが、本当に仙人か! というくらい達観した奴で、俺が無理にでも女のいる場所に連れて行かないと彼女など一生できないだろう。
何せ人間嫌いで、安全な町に住むのを拒むような男だからな。
そこで、俺とジュノは一計を案じた。俺は浮かれていた。しかしそれがそもそもの間違いだったんだ。
……
【蝶のゆりかご】で遊んでいたことがサラサとエルザに速攻でバレた。なぜだ。だが今はそんなことはどうでもいい。ピンチはチャンスだ、ピンチを活かせ。
そして、そんな錯乱状態のまま俺の武器屋に連行された俺たち3人は、そこでさらなる事件に巻き込まれることになる。
なんと俺の相手をしてくれたピレニーちゃんが俺の懐にブラジャーを忍ばせるというお茶目なサービスをしてくれており、俺の服からはみ出ていたブラ紐を子狼のアッシュが引っ張り、サラサとエルザの前に晒すというまさかのミラクルが起きてしまったのである。
極上の笑顔になったサラサに「ケイゴ、あなたはもう帰っていいわよ」と言われ、ケイゴはアッシュを抱き上げると青い顔でそそくさと帰ってしまった。
しかし、俺にはケイゴを気にかける余裕はない。ピレニーちゃん、なんてことをしてくれたんだぁ〜!!!
「なにこれ……、どういうこと……?」
ローソクのような顔色になりうつむきブツブツ言うサラサ。
震え上がり血の気が失せる俺。
こんな時何と答えるのがベストなのだろうか。冷や汗が止まらない。
「ぬ、布?」
サラサの瞳がメラメラと燃え出した。
い、いかん。間違えた! 誤魔化そうとするのは御法度だった!
このままではそこにある武器で刺されかねん!
こういう時は誠心誠意謝るしかない。
「一時的な気の迷いだった。すまん、。もう二度と誘惑には負けない! あとジュノは本当に何もしてない」
俺は土下座して謝った。重ねてジュノも土下座し。
「本当だ俺はただ飲んでただけだ。ケイゴに彼女を作ってもらうためにマルゴと俺が考えたことなんだ。マルゴは一時的な気の迷いだったと思う。許してくれ!」
「ふんっ」
バキッ! あがががが! 顎があああ!
そして二人が下した判決は、俺は当然ギルティー、ジュノも見てみぬふりをした罪でギルティー。ケイゴは巻き込まれ無罪、という結論に。
二度と歓楽街に行かないことを条件として執行猶予が言い渡されたのだった。




