表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

131/617

モノローグ・バイエルン7

 吾輩はレスタ・フォン・バイエルン。


 何とか屋敷の敷地外に出ることができた我輩は、冒険者ギルドに顔を出し迷惑をかけた冒険者たちに謝罪をした。


 当然謝罪するだけでは足りない。お金も支払った。


 次はケイゴオクダだ。彼には我輩自身の命を救われているし、多くの冒険者の命を救った功績がある。


 金貨500枚分の働きはしているであろう。


 我輩は護衛兵のドニーと一緒にケイゴオクダの家を訪ねた。



 むむ。何かとてつもなく良い匂いがするぞ。まあ、それはさておき。


 我輩はケイゴオクダに頭を下げた。謝罪をした。


 しかし、ケイゴオクダは言葉が通じないらしく、怪訝なな表情を浮かべていた。


 我輩はドニーに合図をして、金貨500枚が入った金貨袋をケイゴオクダに手渡した。


 そして、何度も何度も頭を下げた。


 金貨を数え上げたケイゴオクダはにこりと笑い、我輩を気遣って左手で握手を求めてきた。よかった……。


 そして、我輩はケイゴオクダから木製のテーブルに座るよう促された。何だろう?


 するとケイゴオクダは、とても香ばしい匂いを放つ料理と酒を目の前に並べてくれた。



 パク……。ドドーン! 我輩の背後に雷が轟いた。


 こ、これはイカンぞ! 美味すぎるっ!!


 芳醇な味わいが口いっぱいに広がってゆく。これは一体何なのだ、酒が止まらん! 


 ドニーの分の皿もテーブルに並んだ。


 我輩はドニーを見て、皿をよこせと血走った目でアイコンタクトをしたが、ドニーは皿に目が釘付けで気がつかない。ドニー貴様、立場をわきまえよ!!


 はっ! いかにかん。我輩はここに一体何をしにきたのかを思い出した。


 無理やり奪うのも以前の我輩の無様そのもの。ここは我慢だ。



 そして我らは、そのままケイゴオクダの家で宴会をすることになったのだった。


 本当に酒が進んで仕方がない。どうやらこの素晴らしい料理はクンセイという料理らしい。本当に素晴らしい。


 また先ほどから、食欲のそそる匂いを発していて気にはなっていたが、何かの肉の丸焼きのようなものをケイゴオクダが切り分けてくれた。



 パク……。


 ドドーン!!


 再び我輩の背後に雷が轟いた。



 この料理は一体何なのだ! 深みとコク、そしてなんとジューシーな味わいか!!


 これはイカンぞ! 酒が本当に止まらないではないか!!


 きっとケイゴオクダは優秀なヒーラーであると同時に、名のある料理人なのだろう。こんな隠れたところで隠居生活をしているのも、おそらくよほどの事情あってのこと。これ以上詮索しては、彼の料理が食べられなくなってしまう可能性がある。


 この場所は我輩の秘密にせなばな!!


 気がつけば、我輩はすっかりケイゴオクダの料理の虜になっていた。



 そしてドニーと馬鹿騒ぎをしていたら、いつの間にか我輩の記憶は途中からなくなっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] よくネット上のネタで出る『無能な働き者』が出なければマトモというか良心的な領主だったのだろうな。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ