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声楽家のサモナーさんが異世界で謳歌します  作者: euch nicht
第六章 独立迷宮国家イシュタルテ
74/80

プロローグ

第六章の始まりです。


書き溜めの都合により、第六章より週一ペースで投稿致します。

何卒ご理解の程宜しくお願い致します。

「ヴィル様、良かったのですか?」


「何が?」


「何がって、あの会議の場をいきなり出て、すぐに迷宮国家に向かうって、今頃メイリアの首脳陣は頭がおかしくなってんじゃねぇか?」


「いや、機能させるように……というか、俺が魔法部門で工作してたからな。多分魔法部門が仕切っているはず。とりあえず、あの肉塊はヒーヒーいいながら魔道具の作成に従事させられるはずだ」


「にしてもよ~……」


「ティーファ。とりあえず、すぐ動かないといけないのは決まってただろ?」


「確かにそりゃそうだが……」


「じゃなきゃ意味ないしな……それにもうここは独立迷宮国家イシュタルテだ」



 ウルティマが上空を旋回する。その下には高い塀で囲われた四角い街があった。いや、この世界に置いては大都市と言っても過言ではないだろう。肉眼では確認できない高度に居るのに、街がはっきり見える。


「それじゃ、降りるか。今回は時間との勝負だから、そのまま門まで飛んでいって、並んでる連中を蹴散らせ……蹴散らせと言っても、本当に攻撃するのではなく、現れれば良い。この国のトップの頭を早めに抑えないといけないからね」



 ウルティマは急降下した。徐々に見えてくる全貌。本当に大きな都市だ。門は4つあり、そのいずれかから入ることができるようだ。俺はウルティマに指示を出して、そのうちの一箇所に向かった。

 当然のことながら、いきなりドラゴンが現れたため、商人や冒険者と思しき者たちは皆散り散りになった。


「ふぅ、これでスッキリした。みんな降りるぞ」


 そう言って振り返ると全員が呆れ顔でこちらを見ていた。


「何だ?急ぐぞ?何を呆けている?」


 そう言って何食わぬ顔で俺は降りた。急遽やって来た衛兵達が騒いでいる。誰か出てくるかと思ったが、誰も出てこない。というか、攻撃の準備をしているらしい。魔力反応がある。それに、対ドラゴン用の装備なのか、バリスタの・ようなものまで準備し始めた。

 俺は後ろを振り返り、全員が降りたのを確認して、ウルティマを送還する。すると、衛兵達がざわめく。そして、いきなりわらわらと衛兵たちが出てくる。ドラゴンがいなくなったから強気になったのかは知らないが。もう一回ドラゴン出そうかな?


「あの、この中で代表者はいませんか?」


 と俺が声を掛けると、一人の男が出てきた。いや、肉塊が出てきた。


「お前は誰だ」


 いきなりこれである。


「はぁ、まぁいいや。俺はヴィルヘルム・シュッツ。こう言えばわかりやすいかな?魔法部門の元主席、特別名誉顧問なんて呼ばれている者だ」


「おお!なんと!」


 そういいながら一瞬で顔色を変えて、媚びへつらうような態度になった肉塊。


「で、あんたは誰だ?」


「おお、ご説明がまだでしたな。私はこの独立迷宮国家イシュタルテの冒険者ギルドマスターのノタブ・キヤリテと申します」


 そう、この独立迷宮国家はもちろん貴族制度はあれど、お飾りのようなもの。メイリア同様対外的な問題で存在しているだけ。実験を握っているのは各ギルドである。塔の主席達が首脳だとすれば、この国家は冒険者ギルドのギルドマスターや生産ギルド、芸能ギルドのギルドマスター達が国を運営しているのだ。


「ほぅ、この国の実権を握っているお方にあえて光栄です」


「はは、ありがとうございます……フゴ」


 なんか嫌な予感がする。こういう肉塊が出てくると。なんだろう。生理的に受け付けないのかな?


「ところでヴィルヘルム様。先程のドラゴンはどちらへ?」


「ああ、俺の召喚獣だから、送還したよ」


「なんと!あの立派なドラゴンが!……ブヒ」


「とりあえず、中に入れてもらっても構わないかな?メイリアの特使としてこちらに来た。しかも火急を要する事案を持って」


「なんと!それでは緊急ギルド会議を開かせていただきます!ではまずこちらへどうぞ」



 こうして、いきなりだがこの肉塊との戦いの火蓋が切って落とされた……はず。

お読みいただきありがとうございます。

誤字、脱字等ありましたらお知らせいただけると幸いです。

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