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声楽家のサモナーさんが異世界で謳歌します  作者: euch nicht
第五章 独立学術国家メイリア
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第二話

 次の日になり、俺らは試験会場へと向かった。


「案外人が少ないな」


 お城中央の広場に来てみると人は少なかった。テーブルがいくつか並べられている。俺らはそこへ向かった。


「あの、すみません。入学のための試験を受けたいのですが」


「それはあちらの方でお願い致します。それと、受験料は必要ありませんが、受かった際に10ミラを頂きますので、その後準備をお願い致します」


「え?もしかして入学試験とは名ばかりで、誰でも入れるとかでは無いですよね?」


「はい、どなたでも入れます。試験といいましても名ばかりで、適正を見るための検査が行われる、それが試験だとお思いください」


 なんとも太っ腹だ。俺の世界だったらありえないな……いや、国によるか……。こっちじゃ義務教育ってのもないだろうし。


「わかりました。ご丁寧にありがとうございます」


 そう言うと、受付と思しき場所へ向かった。


「すみません、入学試験の受付はこちらでしょうか」


「はい、こちらが受付です」


「俺と後ろの二人、入学を希望します」


「はい、わかりました。それではこちらの紙に名前を書いていただけますでしょうか。書けないのであれば代筆させていただきます」


「大丈夫です」


 そう言って三人の名前を記入する。


「はい、受付終了です。時間までもう少しお待ち下さい。その間に魔術適性の検査を行いますので、あちらでお受けください」


 そう言うと先程の受付のところを指した。


「ありがとうございます」


「最後に、こちらの簡易カードをお持ちください。魔術適正の他にもその人の適性を調べるための検査も一気に出来ますのでそれを受けてください。それを試験の最後までお持ちください。そこに書かれた数値が最終的な学生証となりますので」


「なるほど、この試験が終わったら正式な学生証になるわけか」


「そういうことです。では、あちらへどうぞ」


 俺らは簡易カードをもらい、先程のところへ戻った。


「受付を済ませて簡易カードを貰ってきましたか?」


 先程の方に聞かれる。


「はい。頂いてきました」


「それでは簡易カードをこちらで預かります。はい。それではこちらの魔道具に手を当ててください」


 そう言うと板切れが出てきた。


「これが魔道具なんですか?」


「はい。最新の魔道具です。これはまず魔術に適正があるかどうかを調べるためのものです」


「なるほど……これに手を当てればいいんだな?」


 そして、手を当てると、魔力の流れを感じた。


「はい。よろしいですよ。次はこちらに手を当ててください。これはスキル等、どの学術に向いているかを調べるための魔道具です」


「ちょっと待て、これってステータスを調べる魔道具なのか?」


「いいえ、そのような機能はありません」


「じゃあ、データでも集めているのか?」


「どういうことでしょうか?」


「いや、さっきの魔術適正の魔道具、確かに適正は調べたみたいだが、その時そのデータが色々なところに送られていったのを感じたぞ?これは一体何だ?」


「なんだと言われましても……そのような機能はこれには無いはずです」


「……ふむ……とりあえず、前まではステータス隠していたが、今となってはどうでもいい。まぁ、構わないか」


「は、はぁ……それでは次にこちらの魔道具に手をあててください」


 俺は手を当てる。が、やはりどこかへ魔力が発信されている。


「なんか癪に障るな……この感覚は」


「とりあえず、終了です。それではこの後剣術の試験と筆記の試験があります。それまでお待ち下さい」


 リリアとキリエも終わらせ、剣術と筆記の試験を待つ。


(ん~これってぶっちゃけ陰謀なんだよね~)


(急になんですか?陰謀?)


(いや、さっき君が感じた魔力の不審な送信。データを集めてなにか研究に使ってるみたいなんだよね……とはいえ、これは悪意じゃない。ただ単に、データの収集かな?)


(で、なんのようですか?)


(各部門のトップはまぁ、少々問題があるといえばあるけど、まぁ、腐敗しているとまではいえないかな。だけど、イシュタルテと共謀している部門がある。まぁ、君にはわかりきってることだろうけど。これはあまり良くない傾向だよね。市場の独占は。というわけでミッション。某魔道具部門と迷宮国家イシュタルテとの癒着を解決しましょう!これが出来たらまたプレゼントが待っているよ!)


(いや、某って、答え言ってんじゃん)


(あはは、気にしない気にしない~じゃあね~)


 やはり一方的に念話が切られた。


「神様からですか?」


「あれ?リリアどうしてわかったの?」


「あの、その、とても、嫌そうな顔をしていたので……」


「あっ、そういう……あはは……はぁ」



 紆余曲折あったものの、時間は刻々と過ぎ、次の試験がやって来た。


「そういえば、剣術って言ってたけど、剣だけなのかな?」


「そんなことは無いと思いますが、一般的ですからね。剣の扱いは」


「なるほど……その部門を極めるには剣術は必須というわけか」


「であれば私の出番だな!」


「そういえば、キリエは剣使うんだっけ?」


「ああ、私はもっぱら槍を使うが、剣も好きだぞ!」


「とりあえず、時間みたいだし、試験を受けに行こう。ただし、ちゃんと二人共手加減を忘れずにね!」


「はい!」


「うむ!わかったのだ!」



 こうして、剣術の試験が行われた。皆訓練用の木剣を使い、鎧は自前の物を使う(ない場合は貸し出される)。やはり剣術以外にもスキルが有るか問われ、素直に答えていった。そして、筆記試験が大きな講義室で行われた。そして、やはりと言うかなんというか。俺たち三人が飛び級という学園にしてみれば異例の、俺達からしたらやっぱりといった感じである。因みに、俺はいきなり最上級コースで、リリアとキリエは上級かららしい。後、俺に関していえば、魔法部門の主席が約束されているらしい。というのも、魔法を扱えるものがそもそも存在しないのに、魔法を扱えるものが現れたからだ。これを主席にせず、誰を主席にする?という話になっているらしい。武術や芸術、生産スキルなども持っているため、俺の取り合い合戦は激戦だったらしい。


 閑話休題。


 剣術の試験はもちろん、筆記試験も三人共クリアした。意外だったのはキリエだ。これでも第三皇女として帝王学を学んでいるとのことで、筆記試験をクリアした。その他にも剣術手加減できるか心配だったがよく考えたらスキルの存在を忘れてた。もちろんみんな全力で手加減しながら、数人出てきた試験官をフルボッコにした。筆記試験に置いては、俺以外、ある一定のレベルまでしか書けなかったらしい。確かにそれはそうだ。生産に関する専門知識や、魔術に関する専門知識。それらを必要とするわけで、ヤッたことなければわからないようなことまで書いてあった。因みに俺は満点ではなかった。6部門の内、1部門だけ弱点が合った。学問、特に歴史。これは流石にわからないことが多かった。簡単な数学や現代日本で言う基礎教養の部分も合ったがこれはあまりにも簡単すぎた。

 とまぁ、こうして、俺らは無事試験を突破し、入学することが出来たのだった。

お読みいただきありがとうございます。

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