第三話
「あれ?ここは?」
「ドワーフの長の工房兼家をお借りしているわ」
「そうか……なるほど……倒れたんだな」
「倒れました~……じゃねぇよ!俺たちをどれだけ心配させんだよ!」
「いや、それはすまん。装備はつけてみたか?」
「心配。それどころでない」
「じゃあ、早速装備して見せてくれ」
そう言うと五人とも呆れた顔をしながらも、三人は武具を装備していく。使い心地を試すためにどこかいい場所は無いか聞いてみると、近くに小さいが、ダンジョンがあるそうな。ダンジョンとは……という説明を本来はしたほうが良いのだろうが、ラノベ読んでいるみんなならわかるよね?
「というわけで来ました!この世界初のダンジョン!」
と言ってもしょぼいダンジョンだった。特に語ることもなく、雑魚しか居ない。いつもなら課金アイテムじゃんじゃん使うのだが、遠慮したいなと思うほど弱い敵しか出てこない。それに下二桁ぐらいしか動かない経験値何を何倍にしようが、何分の一にしようが、変わりはない。最低でも七桁か八桁動かないと使う気にはならない。そして、終わってみれば。
「はぁ、がっかりだ」
「大丈夫ですよ。人種の国の一つに迷宮国家というのがありますので」
「迷宮国家?なにそれ?」
「迷宮国家とは確か人種たちの冒険者が集まり、ダンジョン攻略をしていると聞いたことがありますね」
「そうです。しかも迷宮国家は複数ある迷宮が一つにつながっているというお話です。しかも、そのダンジョンは良いお宝を排出するとして、有名です」
「なるほど。リリアはともかくティアも博識だな~」
「一応これでも一国の王族ですので。帝王学は学んで降りましたのよ?」
「でも、俺は覚えてね~」
「以下同文」
「あなた達は戦うこと以外もしなさい!」
三姉妹はなかなかに元気だ。
「とりあえず、装備の使い心地はどうだった?」
「私はとても良かったわ」
「俺も文句なしだぜ!」
「問題ない」
「フィリアの暗器はどうだった?」
「すごく使いやすい」
「それは良かった。今日はこのままどこか別な場所で狩りでもするか?それともいろいろな集落を周るか?」
「私は集落を周るほうがよろしいかと。今回のダンジョンは短かったですし、まだ時間もありますし」
「そうだな私もそれで良いと思うぞ!」
「私もそれに賛成です」
「俺もそれで良いぜ」
「以下同文」
「フィリアはちょっと喋ろうな」
「無理。疲れる」
「あはは……でもフィリアちゃん、おしゃべり楽しいよ?」
「私、苦手」
「あはは……」
リリアもタジタジである。
「まぁ、とりあえず装備が問題ないなら良かった。それじゃあ、他の集落を回りましょうか」
「そうですわね」
こうして俺たちは地方巡業に出た。味方になってくれたところ、中立を頑として曲げないところ。やはりいろいろとバラバラだった。ただ、中立だったところや好意的なところばかりを巡ったので感触は良かったと思う。因みに曲を決めて歌ってきた。リリアがリュートを弾けることと、楽典を勉強してくれたことにより、ドン・ジョヴァンニの『Deh, vieni alla finestra』を歌えた。
伴奏リリア、歌唱は俺。一緒にやったことに夜効果か、リリアのスキルレベルがぐんぐん上がったらしい。
まだ動きは無いため、とりあえず、エルフの皆さんのところでも歌った。
『Deh, vieni alla finestra, o mio tesoro,
Deh, vieni a consolar il pianto mio.
Se neghi a me di dar qualche ristoro,
Davanti agli occhi tuoi morir vogl’io!
Tu ch’hai la bocca dolce piu del miele,
Tu che il zucchero porti in mezzo in core!
Non esser, gioia mia, con me crudele!
Lascia chi al miele, del mio bell’amore!』
「ご清聴ありがとうございました」
俺とリリアは二人で笑い合いながら、一緒に演奏した満足感で満たされていた。
宴会のようにテーブルが並び、その端っこにステージのような段があり、そこで歌った。
エルフの皆さんからは盛大な拍手を送られ、他のエルフたちも集まり、最終的には他の数少ない種族の人たちもたちまで集まってきた。
「それでは、なんかあれなので、もう一曲歌いましょうか?」
「ごめんなさい、まだこの曲しか出来ません」
とリリアはしょんぼりする。
「大丈夫。そもそも俺はずっと一人で歌ってきたからね。ピアノを使って弾き歌いするよ」
そう言うとイベントリからグランドピアノを取り出し、次の曲を歌い始めようとして、ふと思い地たことを聞いてみた。
「皆さん、四極続けて歌ってもいいですか?全部歌詞の内容はつながっているんですけど」
すると、問題ない、やれやれ~、だのと聞こえてきたので、歌うことにする。というわけで、マーラーの『Lieder eines fahrenden gesellen』を歌うことにした。
『Wenn mein Schatz Hochzeit macht,
Froeliche hochzeit macht,
Hab’ich meinen traurigen Tag!
Geh’ich in mein Kaenmmerlein,
Dunkeles Kaemmerlein,
Weine, wein’um meinen Schatz!
Bluemlein blau! Bluemlein blau !
Verdorre nicht! Verdorre nicht!
Voeglein sues! Voeglein sues!
Du singst auf greener Heide.
Ach, wie ist die Welt so schoen!
Zikueth! Zikueth! Zikueth!
Singet nicht! Bluehet nicht!
Lenz ist ja vorbei!
Alles Singen ist nun aus!
Des Abends, wenn ich schlafen geh’,
Denk’ich an mein Leide!
An mein Leide!』
一曲目はこれで終わり。次の曲にすぐさま移る。
『Ging heut morgen uebers Feld,
Tau noch auf den Graesern hing;
Sprach zu mir der lust’ge Fink:
“Ei du! Gelt?
Guten morgen! Ei gelt? Du!
Wird’s nicht eine schoene Welt? schoene Welt?
Zink! Zink! Schoen und flink!
Wie mir doch die Welt gefaellt!”
Auch die Glockenblum’an feld
Hat mir lusting, guterDing’,
Mit den Gloeckchen, klinge, kling,
klinge, kling,
Ihren Morgengruss geschellt:
“Wird’s nicht eine schoene Welt? schoene Welt?
Kling, kling! Kling, kling! Schoenes Ding!
Wie mir doch die Welt gefaellt! Heia!”
Und da fing im Sonnenschein
Gleich die Welt zu funkeln an;
Alles Alles ton und Farbe gewann
Im Sonnenschein!
Blum’ und Vogel, gross und Klein!
“GutenTag, Guten Tag,
ist’s nicht eine schoene Welt?
Ei du, gelt? Ei du, gelt?
Schoene Welt!”
Nun faengt auch mein Glueck wohl an?
Nun faengt auch mein Glueck whol an?
Nein, nein, das ich mein’,
Mir nimmer nimmer bluhen kann!』
二曲目が終わる。続けて曲調がガラリと変わり三曲目。
『Ich hab’ein gluehend Messer
Ein Messer in meiner Brust,
O weh! O weh! Das schneid’t so tief
In jede Freud’ und jede Lust.
so tief! So tief!
Es schneid’t so weh und tief!
Ach, was ist das fuer ein boeser Gast!
Ach, was ist das fuer ein boeser Gast!
Nimmer haelt er Ruh’
Nimmer haelt er Rast,
Nicht bei Tag, noch bei Nacht, wenn ich schlief!
O weh! O weh! O weh!
Wenn ich den Himmel seh’
She’ich zwei blaue Augen stehn!
O weh! O weh!
Wenn ich im gelben Felde geh’,
She’ich von fern das blonde Haar
im Winde when! O weh! O weh!
Wenn ich aus dem Traum auffahr’
Und hoere klingen ihr seilbern’ Lachen,
O weh! Oweh!
Ich wollt’, ich laeg’ auf der Schwarzen Bahr’,
Koennt’ nimmer, nimmer die Augen aufmachen!』
三曲目が終わり、次が終曲だ。
『Die zwei blauen Augen
von meinem Schatz,
Die haben mich in die weite Welt eschickt.
Da must ich Abschied nehmen
vom allerliebstern Platz!
O Auge blau, warum habt ihr mich angeblickt?
Nun hab’ich ewig Leid und Graemen.
Ich bin ausgegangen in stiller Nacht
in stiller Nacht wohl ueber die dunkle Heide.
Hat mir niemand ade gesagt, ade!
Ade! Ade! Mein Gesell’ war lieb’ und Leide!
Auf der Strasse steht ein Lindenbaum,
Da habich zum ersten Mal im Schlaf geruht!
Unter dem Lindenbaum, der hat Seine Bluten ueber mich geschneit,
da wusst ich nicht, wie das Leben tut, war alles alles wieder gut,
ach alles wieder gut!
Alles! Alles! Lieb’ und Leid
Und Welt und Traum!』
四曲目を歌い終わり、会場の反応を見るが、誰も微動だにしない。下手すると数十秒後ぐらいにチラホラと拍手が聞こえ始め、そこから徐々に拍手が大きくなり、大歓声になっていった。
「やっぱすげーな!ヴィルの歌!俺もあんなふうに歌いたいけど、音痴なんだよな~」
「歌、興味出た」
「うむ。何度聞いても良いものだ!」
「ヴィル様の歌声はとても心に染み渡ります」
「私と一緒に演奏したときよりすごかったです」
「だけど、俺はリリアと一緒にやったほうが楽しかったよ?一人だと味気なかったりするんだよね。今後劇場が出来たら更に楽しくなるだろうな!」
俺らは普通に話をしているが、これは慣れているからである。
「いや~、まいった!感服いたしましたぞ!」
と、トモタン。
「ご清聴いただきありがとうございます」
「ここまで見事な歌、演奏はまず一生に一度ぐらいしか聞けないのではないかと思うようであるぞ!」
「ありがとうございます」
その後も挨拶をたくさんしてへとへとになった。そうして、その日の宴会は更に盛り上がり、長引いたのであった。
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