第一話
「私が族長のトモタンだ。よろしく頼む」
そう言いながら背中をバシバシ叩いてくる。見た目と名前のギャップが激しい。
「は、はぁ、よろしくおねがいします。あの、族長さんで間違いないですよね」
「いかにも!この派手な格好でわからないかな?うん?」
やはり、某作品の前田慶次郎利益にしか見えない。梅鉢紋は無いが。
「えーっと、とりあえず、お話させていただいてもよろしいですか?」
「おう。構わないぞ。人払いしたほうが良いか?」
「いいえ、面倒なので良いです。私は信じられないかもしれませんが、神の御使いというやつらしいです。証拠はこれです」
そう言ってステータスを見せる。第一ジョブの神の御使いを。
「なんと!神の御使いであるか!とりあえず、私はどうすればいい?歓待すればよろしいか?」
「いいえ、このエルフの街は問題が無いと神様から聞きました。ただ、このアルヴィリア連邦の政治家、及び貴族共が腐敗しているとお告げがありました。それを解決するのが私の役目です。エルフの街は情報収集を熱心に行っているとか。できればその情報を渡しにもいただけないでしょうか」
そう言うと、トモタン……彼はとても驚いた顔をした。
「本当に神の御使いだったのだな……あいや、失礼致し申した。そのとおり、我々はこのきな臭いアルヴィリア連邦の情勢をある程度握っています……その話をする前に」
そこまで言うと、彼は手を4回叩いた。その後指を1回鳴らした。すると、周囲の人々が急いで我々から離れ、逆に、忍びのような者達が、集まった。しかも、某忍者ものの作品の如く、木から木へと飛び移り、軽い曲芸をしながらやってきた。どういう原理だろうか。
「よし、集まったな」
「はっ、我ら一同いつでも御身のそばに」
「うむ。話は聞いたな」
「はっ、しかと」
「では、情報を話せ。いや、情報を整理してまとめよ。再優先事項だ。現在の最新情報だけで良い。すぐに理解しやすいよう報告せよ」
「御意」
そう言うと、忍びの皆さんは一瞬でどっかに消えた。って、俺にはステータスのせいでちゃんと見えてるたけど。
「情報をまとめるので少し待っていただいてもよろしいだろうか」
「大丈夫です。それにお話も筒抜けです。私のステータスはあまりにも高いので」
「なんと!」
「最終目標は神族の暴走を止めることです」
開いた口が塞がらない。とはまさにこのことだろう。完全にフリーズしている。
「……それは……なんとなんとも……魔族ですら冒険者ランクA++でないと倒せないとまで言われており、神族などA+++ランクが数人束になってもかなわない相手だと聞き及んでおりまするぞ」
「まぁ、最近は隠すのを止めたのでいいますが、HPとMPはステータスに表記されているのは八桁。その他のステータスも全部七桁です」
再度呆然とする。今度は復帰するまで長かった。
「……なるほど、神族と戦うとなれば確かにそれほどのステータスが無いと戦えないのかもしれませぬな」
「というわけです。神様もなんのつもりか、このアルヴィリア連邦の問題を解決したら、ご褒美と称して、装備品をくれるんだが、それが異常なもので……今装備しているこのネックレスですら、すでに全ステータスが百万アップ、つまりこの装備だけでステータス上七桁になるわけで。その他にももちろん自分自身鍛えてレベルを上げているので……因みに、私はサモナーですが先程のドラゴンは私よりはるかに強いです」
二度あることは三度ある。再度口をあんぐりと開けて、呆然とする。
「……いや、なんとも、先程から驚かされてばかりだ」
「まぁ、神様もホント何考えてるかわかんないので。とりあえず、言う通りにはしています。というか怠るとすぐに怒られるので」
神様はいつも監視しているのか、今日はレベル上げ面倒だからいいやとか考えた瞬間に神様から(だめだよ~レベル上げはちゃんとしてもらないと困るよ!装備品でステータスをいくら補うと言っても、技術は上げてもらわないと困ることになるよ。将来)
とか言って脅してくる。
「失礼ですが、神様とはそれほどまでに気安い方なのでしょうか?」
「ええ、そうですよ。因みにあっちに居るうちの嫁たちもアイテムのおかげで神様の声を聴くことができます。因みに、装備複製は出来ますが、神様の許可が必要なので無理です。後、複製はステータスがオリジナルの十分の一になるので、彼女たちもかなり強いですよ。少なくてもあの誤認は冒険者ランクに当てはめるとA+++ランクになりますね」
「……ははは、もう驚き疲れた」
「因みに、隠形させていますが、ちゃんと彼女たちに護衛もつけています。私より強い私の召喚獣が」
「神のご意思がわからぬ。神はこの世界を滅ぼすおつもりなのだろうか」
「あはは……そんなわけないじゃないですか……だったら腐敗をなんとかしろとかいうミッションを出してくるはずないですし」
「た、確かに。そうであったな。うむ、神様よ。聞いているのだあれば失礼した」
(大丈夫気にしないよって伝えといてね~)
と神様から急に声が聞こえ、すぐに念話が切れた。
「えーっと、神様からの伝言です。気にしなくて良いよだそうです」
「なんと!神は聞いておられたのか!」
「だから、そうかしこまるのは良くないと思いますよ。一応あれでも神様の言葉ですので。気安くしてもらったほうが良いみたいですし」
「相わかった……っと、戻ってきたみたいですな」
さっき居なくなった忍びのような方々が戻ってきたのだろう……立派なエルフ耳の忍びが。
「うむ。では報告せよ」
「はっ、ドワーフは動きなし。あそこは生産さえ与えていれば特に何かということは無いですので」
「うむ。そうであるな。ヴィルヘルム殿、次はドワーフの国に向かうのがよろしいかと思われます。どなたか生産に強い方はいらっしゃいますか?」
「私が生産Lv10を持ってます」
「は?」
ああ、そうだった。こうなるから隠してたんだった。
「とりあえず、大丈夫です。報告をお願いします」
「は、はっ、で、では次です」
忍びのエルフも動揺している。
「獣人族が最近覇権を握って着ているが、裏では海人族が画策しているようです」
「ちょっと待て、獣人族って……ゲルギルグ王国に居るのではないのか?」
「なるほど、そのあたりはご存じないようですな。では僭越ながらご説明いたします。ゲルギルグ王国に居る獣人は人に近い獣人です。せいぜい、一部が獣の体を持っているというだけです。ベースが人なのです。ですがこちらの獣人族は獣がベースで獣を無理やり人型にした者たちのことなのです」
「なるほど。説明ありがとう」
「いえいえ、それでは続きを」
「はっ。とはいえ、海人族の工作は稚拙なものばかりでして……あまりうまく行っていないどころか、最近獣人族と揉めることが多くなってきています」
「だめじゃん」
「具体的な話も掴んでいますが……これは伝えなくてもなんとかなるレベルかと……」
「報告しろと言ったはずだが?」
トモタンが脅す。
「はっ、僭越ながら。海人族が内部分裂を起こし、その中でも過激派が覇権を握っていまして……その、交渉に向いていない方々ばかりで……交渉というより互いに脳筋のバカどもなので子供の喧嘩をしているだけです」
呆れる他無いな。
「そんなのが派遣を握っているのか?」
「獣人族は戦闘力という面で置いては身体能力は亜人随一ですので……それに我々のようにアホらしく思い、議会を崩壊させ、漁夫の利を狙うのが大半の部族かと……その中で一番大きな勢力が我々というわけです。多種族も基本的には我々に賛同してくれるよう根回しは済ませております。後は崩壊を待つだけだったのですが」
「そういうことなら、俺は普通にドワーフやその根回しした種族たちのところに挨拶に行ってくることにするよ」
なんかどっと疲れた。
「そういえばリリア、あの話は?」
というと、聞きに徹してた5人ははっとする。
「それでは代表して私がお話させていただきます。こちらの連邦の動乱が収まりましたら、和平を結びたいと考えております」
「これは、すでにスグワルド王国、フラが帝国、ゲルギルグ王国の三国が納得していますが、和平のための交渉、そのテーブルについてほしいと考えています」
するとトモタンは訝しげに考える。
「種族が違う者たちだぞ?それで、和平を結ぶと言うか……そもそも戦いにすらなっていないのでは?我々もむやみに人族を襲いませんし、ゲルギルグ王国の獣人たちも襲ったりはしません。普通に会話をして丁重にお帰り願うか、どうしてもという場合は滞在を許可することもあります」
「そうなんだけどね。だけど、交流を持つことは良いことだと思うわけよ。ただでさえ厄介な魔族や神族が居るわけで。それらを駆逐した後、今まで通りでも構いませんが、仲良くしたほうが互いに戦争も起きないと思いましてね。次世代以降いつ戦争が起きるとも限らないと思いますので、それを根本的に最初からなくそうというお話です」
「なるほど……確かに我々は閉鎖的だ。部族によっては敵対しているところもある。それをまとめ上げたら今度は国家間で和平を。その後、それを成しえれば、各部族間の諍いも少なくなるわけですな。一つの国家としてまとまりがあれば」
「そういうことです。いかがでしょうか?」
「悪くない話ですな。では、我々も加わらせていただきましょう。ただし、御使様に申し訳ございませんが、我々エルフだけではだめなので、先程挨拶回りをされるとのこと。そこで、この話をして了承を得ていただけないでしょうか。我々が了承していることも伝えて構いません」
「わかりました。ではそうしましょう。ごめんね。リリア。全部俺が話してしまった」
「いいえ、構いません。ただし、私達の身分をご説明しないといけませんね」
「というと?」
「私達はハーフエルフではありません。いや、ハーフエルフなのですが」
トモタンは訝しむ。
「どういうことでしょうか?」
「俺はハイエルフの因子を持ったハーフです。ただし、これは神様によって創造された因子です。なので起源というより、私が始祖と言っても良いかもしれません」
「私も神様に人族からハーフエルフにしていただきました。ヴィル様との寿命の差がありましたので」
「うむ。私もそうだぞ!」
「はぁ、そうなのですか?ではどこの部族のででも無いと?」
「それどころか私達は……そうですねご紹介が遅れました。私はリリア・シュッツ・スグワルド。すぐワルド王国の第三王女です」
「私はフラガ帝国の第三皇女のキリエ・シュッツ・フラガだ!」
と自己紹介をするとアルビノの三人に目が行った。
「私達もゲルギルグ王国の第一王女から第三王女までの三人でございますわ」
「俺は第二王女な」
「第三王女」
「なんと、全員が王族、皇族であると!」
「そして、全員ヴィルの嫁」
と最後にフィリア。
「一応俺も国と言って良いのかわからないが、一応一国の主だ」
「……驚き疲れた……」
心底疲れたような顔をするトモタン。格好だけで全然傾奇者らしくはない。
「とりあえず、情報ありがとう。次はドワーフのところへ行ってみるよ」
こうして一行は再度ウルティマに乗って出発したのだった。
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