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声楽家のサモナーさんが異世界で謳歌します  作者: euch nicht
第三章 ゲルギルグ王国
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第十話

「それにしても、俺もいつかは三人娘が強い男を見つけてくると思っていたが、まさか、同じやつに、しかもハーフエルフと結婚しようとは思いもよらなかった……いや、まいった。実にまいった。戦いについても、結婚についても」


 王のガリュウを前にし、その他にも王妃がずらりと横に並ぶ。この世界の結婚は基本的に上下が無い。ただし、貴族と平民とかになってくると上下関係が生じやすいが。そして、呼び方はよほどのことがない限り、娶った順に王妃の順位が決まる。貴族間の上下ではなく。


「あなた、私達も似たようなものです。この子達の結婚は賛成ですわ」


「俺……私もそう思います」


「賛成」


「誰が誰の子かわかりやすいな」


 最初は第一王妃のグリシャ、次に第二王妃のランザ、最後に第三王妃のディエトである。


「まぁ、そりゃあ、オメェら見てると確かにそのとおりだが、三人一気にというのは」


「あなた、少しは子離れしましょうか?」


「ひぃっ、わ、わかった。わかったから笑顔で近づいてくるのはやめろ……いや、止めてください」


 尻に敷かれているようだ。


「とりあえず、結婚のお話に関してですが、俺としては三人共受け入れるつもりです」


「うむ。わかった。では、そのように取り図ろう。挙式はこちらでよろしいかな?」


「私も一国の主ではありますが、領地は有って無いようなものなので、こちらで構いません。あと、メイドさん方をなんとかしてください。あと執事も」


「ガッハッハ。それは力のあるものの宿命だ!有名な者の宿命だとでも思え!」


「はぁ、わかりました。では、メイドさんは外してください。執事の方を私につけてください。恨み辛みのほうがまだマシです」


「お前はホモなのか?」


「違います。最近じゃ、俺の部屋に入ったら妊娠するって噂になっているくらいですし、たまに襲われますし、溜まったもんではありません。女性は極力傷つけたくないんです」


「ほぅ、フェミニストなんだな」


「性分です」


「まぁ、良い。そのように取り図ろう。で、本題だが外交だったか?」


 とガリュウが声をかけたところで、リリアとキリエが前に出る。


「私はスグワルド王国が第三王女、リリア・シュッツ・スグワルドです」


「私はフラガ帝国の第三皇女、キリエ・シュッツ・フラガだ」


「うむ、要件を聞こうか?」


「はい、現在私達はヴィル様と結婚していますので、正式にスグワルド王国と名乗りづらいのですが、一応出発したときにはスグワルド王国の特使として出発しました。ですので、外交特使と思っていただいて結構です。今回は和平の条約を全種族で行おうというものです」


「ほぅ、全種族とな?」


 ガリュウが一気に殺気立つ。


「ちょっと待て、魔族や神族は別だ」


 と、俺が言うと殺気が収まる。


「なんだ、それを早く言えよ。俺は構わねぇぜ」


「ありがとうございます。一度本国とやり取りをさせていただきましたが、スグワルド王国、フラが帝国、ゲルギルグ王国、その他これから周る都市と和平交渉をと思っています。つきましては、後日お知らせいたしますので、魔族、神族を除いた全ての種族の和平のための会議を行いたいと思っています」


 何やら影でコソコソやっていたのはこのことだったのか。リリアはともかくキリエも一応隠していたんだろうけどな。てか、キリエに隠し事は無理な気がする。


「うむ。これはフラが帝国、すぐワルド王国はすでに了承していると思ってもらって構わない」


 あれ?キリエが外交官に見える。眼の錯覚かな?


「わかった。その際はゲルギルグ王国も参加させていただこう。要件はこれで終わりか?」


 と言ってきたので、本題に入る。


「もう一つあります」


「ほぅ、今度はヴィルヘルムか。して、要件とは?」


「神様より全ての国の膿を出し切れとのことでしたので、それをお願いしたいと思いまして」


 そこまで言うと、再度ガリュウが殺気立った。


「俺の国に腐敗があるというのか?」


 俺はその殺気を涼し気な顔で受け止めしゃべる。


「失礼を承知で言いますが、あなたが行っているのは恐慌政治です。力が全て。それではうまく周りません。ですので、この国の場合は、まともな方が多いのですから適材適所配置すれば問題はすぐ解決するかと思います」


 そこまで言うと、少し殺気がなくなった。


「なるほどな。確かに折れは力の強い順に役職を決めている。給料が高いからな。だが、これは不文律だ。変えるつもりは無い」


「そうであれば提案です。強い順に給料を固定にしてはいかがでしょうか」


「何?」


「役職と給料を分離すれば良いのではないでしょうか。重要で、忙しい役職だけど給料が低ければ、もっと強くなって、給料を上げればいいでしょうし。そうですね。半年に一回給料を定めるための戦いをするというのはどうですか?」


 ガリュウの殺気がなくなった。


「なるほど、ヴィルヘルム、考えか一つで問題を解決するなど、思いもよらなかったぞ。相わかった。宰相を呼べ!」


 こうして、自分は何に向いているのか、何が苦手なのかを考慮して、人事異動があった。そして、この国は少しずつうまく回るようになった。もちろん、さっき言ったように文句は出てきた。だが、やはりそこはガリュウの鶴の一声で収まった。ただし、下剋上を考えていそうな奴らは居たため、草と影の役割を教え、そういう部隊を作り、可動させた。そして、何かを画策したり、まっとうに働かない者達に制裁していった。ガリュウ自ら。

 獣人というのは根がいい人なのだ。やればできるが、今まで楽をして大金を稼いでいた者たち、低い給料で忙しい者たち、しかも自分には合わない仕事ばかり。今回はこのような腐敗が獣人たちの国にはあったのだった。因みに、この腐敗の情報は神様からだ。


「さてと、この国の腐敗はこれでおしまいですね」


「はい。腐敗は終わりましたが、まだまだお仕事は残っていますよ?」


「どういうことだリリア?」


「結婚式とお歌です!私あれから勉強して、リュートでしたか?そのような楽器を扱えるようになりましたし、楽譜も読めるようになりました!ぜひ夫婦で出演したいと思っています!」


 獣人の王国での活動はまだまだ続くのであった。

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