第八話
「獣人の本能?」
「ああ、そうだ!兄ちゃん強い!俺は惚れたぞ!」
「私も、その、強さにしびれました」
「私、強い、好き。結婚する」
俺は困り果てリリアを見る。
「そうですね。よろしいかと思います。私達はすでに結婚していますが、よろしいかと思います。英雄色を好むといいますし」
「ちょっと待て、だから俺の倫理観はどうなる?」
「ここはその異世界なのでしょ?この世界のルールでは問題が無いのです。それどころか、同盟関係を強化するためにはとてもいいことだと思いますよ?なぜそんなに忌避感を持っているのですか?」
そう言われると返す言葉がない。とはいえ、二人ならまだしも更に三人……俺の精神がどうにかなってしまいそうだ。
「じゃあ聞くけど……その、独占欲とか無いのか?」
「ありますよ?ですが、私達にとってはそれが普通ですので……独占欲もありますが同時に妻になった者同士の語らいも楽しみではあるのです。なので、私はキリエさんとの結婚は嬉しく思いました。今回のこのお三方ですが、全員はどうかと思いますが、一人二人であれば問題ないと思いますよ?私はフィリアちゃんを娶ってくれると嬉しいです」
そう言われると本当に返す言葉がない。
「ちょっと待て、私達だと不安だというのか?」
「えー、僕、キリエちゃんと仲良くなれそうだと思うんだけどな~」
「だから、俺を置いて話を進めないでくれ!」
心からの叫びだった。
「そうは言われても獣人は特に強いものに惹かれる。私達はヴィルヘルム殿をこれ以上にない強者として見てしまった。惚れてしまったのだ」
「僕もそうだよ。あれを見て惚れない獣人は居ないと思う」
第一王女のグラティアと第二王女のティーファが言う。
「面倒、皆結婚。それで問題解決」
第三王女のフィリアが言う。
「だから、俺の気持ちはどうなるんだよ」
「ヴィル様。そこまで気負うことはありませんよ?ここはヴィル様の言う異世界です。異なる世界なのです。この世界は男性が少ないです。一夫多妻が基本です。私達はそれを受け入れます。何か問題があるのでしょうか?」
「申し訳ないが、君たち三人は少なくてもまだ添い遂げたいと思うほどではない。好意的に見ることはできるが、結婚となると……やはり俺には荷が重い」
「困りましたね……ではお聞きしますが、私達は新婚です。何か負担になっているのでしょうか?」
「え?」
「多分ヴィル様のおられた世界では結婚とは精神的に重いものだったのではないですか?」
「あ、ああ」
「そこがそもそも違います。結婚とは結構軽いものなのです。王族はそこまで軽いわけではありませんが、庶民の間では普通のことなのです。日常生活の一部なのです。私は結婚した後調べました。何人もの妻が居るのに、人妻に惚れ込んで、相手の旦那と決闘してその方を奪い合ったりしています。やはり獣人ほどではありませんが、強い男性というのは女性からすると惹かれますので。ですので、よっぽど何か縁がない限りは、強い男性に惹かれるのは当たり前のことだと思います。ヴィル様は私達がお嫌いですか?私達が煩わしいですか?そうでないのなら、なぜ結婚していただけないのですか?そして、どうして私達と結婚したのですか?」
……そういう倫理観……考えたこともなかった。はは、思い出した。現実世界に居たときのことを。最初は俺も自己評価が低かった。だけど、自己評価を上げることで、ここまでの資産家になれたんだ。別に、日本以外では一夫多妻制が存在する。俺はカトリックでもなければ仏教徒でもない。気にする必要は無いじゃないか。どうも、ここ最近自己評価が下がっていたようだ。ここまでのステータス。魔族を一瞬で消滅させる戦闘力。どこに自分を蔑む要素があるんだ?ないだろ!だったら良いじゃないか!開き直ろうじゃないか!
「よし、わかった。三人共俺に惚れたんだな?だったら俺が甲斐性を見せてやる!」
いきなりの俺の発言に五人ともぽかんとしている。いや、一人は無表情だが。
「いきなりどうされました?」
「気づいたんだよ。俺さ、ここまでのステータスを持っているのに自己評価が低かったこと。要するにさ、俺に5人を幸せにできる自身がなかった。要するに自分に対する評価が低かったんだ。だけど、俺は前に居た世界で自分の評価が高かった。それを思い出しただけだ」
「なるほど、自己評価ですか……いい言葉ですね」
「ああ、自己評価を上げて俺は成功した。それを思い出した」
「とはいえ、父上との戦いが待っていますが……まぁ、それだけの強さ、大丈夫でしょう。逆に父上を殺さないでくださいね?」
と、グラティアが言った。
「わかってる。正直、君たちにそこまでの好意を抱いていない。初対面があれだったし。だけど、今はただただ本能のまま生きている事がわかったからそこまで悪感情を持っていない。それでも俺についてくるか?」
三人共うなずく。
「よし、それじゃあこれから王城へ乗り込んで一度はやってみたいテンプレをやろうじゃないか!」
五人とも首をかしげていたが、俺のテンションに押されて、皆笑顔になっていた。
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