第三話
男の後をついていくと、一つの部屋に入る。見た感じ豪華な会議室のようなところだ。
「とりあえず、お座りください。それではお話をいたしましょうか。私は外交を担当しているミンスという者です」
「こちらはヴィルヘルム、ヴィルヘルム・シュッツだ、今回はどちらかと言うと外交で来たわけではなく、リリア姫の護衛と思ってください」
「私は先程も名乗りましたが、外交特使のりリア・シュッツ・スグワルドですわ」
「ほぅ、ということはお二人はご夫婦と」
「ええ、まあ」
「そうです、私の大事なお方です。それよりも話をいたしませんか?」
「そうですね。まずはこちらからお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「どうぞ」
「率直に言います。我々は三万の軍を、そうですね宣告せず攻めました」
「はい、その事実は認識しています。ですが、それを認めても良かったのですか?外交官として」
「ええ、それよりもあなた方の心象を悪くするほうが、我らにとって損になると考えました。その上で聞きますが、その三万の兵士は、一体どうなったのでしょうか?まさかこの進行が筒抜けで、王国では防御態勢が整っていたと?」
「いいえ、我々が到着した頃には我が国の村が襲われていました。軽装でしたので、斥候かと思い、全員捕まえ、村に魔術で檻を作り、その者たちは生きています。残りの三万の兵士のほぼ全ては、こちらのヴィル様が片付けてくれました」
そう言うとミンスは引きつった笑みを浮かべ言った。
「片付けるって簡単に言ってくれますね?まさかあのドラゴンで?」
「いや、ドラゴンに乗っては居たけど、俺の攻撃で全滅させた」
「三万の兵士を……ですか?」
「多分我々が来た時点で、早馬出していますよね?もしくは魔獣を。であればもうすぐわかりますよ。国境付近にある人馬の骸が。しかも全員矢で射抜かれたようになって居ると思います。ドラゴンにはそんな器用なことをできるように出来ていません」
「……わ、わかりました。とりあえず、報告を待ってもよろしいでしょうか?」
「ああ、構わない。それにしてもあんたは案外まともだな」
「……」
「隠さなくても良い。俺の目的は貴族としての義務を怠り、怠惰に生活している奴ら、その腐敗した膿を出し切ることが目的です。もしあなたもその気持があるなら手伝ってほしいくらいです」
「……考えておきます」
そして、ミンスは報告が来たらまっさきにこの部屋に通すよう、兵士に伝えた。
「報告が来るまで時間があります。飛竜を使っているので、そこまで遅くなることは無いと思います。それまでしばらくお話の相手をしていただけないでしょうか」
リリアが構いませんよと答える。
「それで、どのようなお話ですか?」
「多分ですがもうそろそろお転婆娘がやって来る頃だと思います」
「はあ、おてんば娘ですか?どういう意味でしょうか?」
と言ったとき、いきなりドアが乱暴に開かれる。
「おお!お主か!ドラゴンを召喚できるとは本当のことなのだろうな!あのドラゴンを私はみたいぞ!」
うん。この人のことを言ってたのかな?
「あの、なぜドラゴンを見たいのですか?」
「私は昔から竜騎士に憧れててな!飛竜を操るまでは至ったのだが、私は下級竜であるワイバーンではなく、本物のドラゴンに乗りたいのだ!」
ああ、なんか最近こんな食いつきを目の当たりにした気がする。
「そうですよね!ドラゴンってカッコいいですものね!」
ほら、ここにも居た。
「ああ、ドラゴンは憧れだ!」
「わかります!やはりドラゴンを操る竜騎士の小説は私もたくさん読みました!」
「おお!そちもか!私もそうだ!ドラゴン、カッコいいよな!」
「はい!ですが、最近は可愛いとも思えるようになってきました!」
と、リリア姫が言うとお転婆娘が顔をしかめる。
「何を言う。ドラゴンはカッコいいものだ。可愛くなどなるものか」
「それがですね……ヴィル様!」
「はいはい、少々お待ちを」
「サモン:ウルティマ」
手のひらサイズのウルティマを召喚した。
「お、おお、おおおおおお!」
お転婆娘も気に入ったようだ。
「ちなみに、さっき外に居たドラゴンです」
というと、今度はミンスが顔をひきつらせた。
「じょ、冗談ですよね?」
「至って本気だが?サイズ変更ができるからな。人化もできるぞ。見た目は竜人族みたいだが」
「主、ご無体な。あんな下級種と一緒にされたくありません」
と、ウルティマが抗議する。
「まぁ、そのサイズで、二人に撫で回されて居てくれ」
「くっ、あ、主の命であれば」
こうしてしばらくの間ウルティマはおもちゃになっていたのだった。
「ところで、このお嬢様はどなたですか?」
「ああ、それは……」
「私か?私はこのフラガ帝国の第三皇女だ!」
ええ、驚きましたとも。隣にも何故か王族の三女が居ますが。ええ、驚きました。
「そうなのですか?私はすぐワルド王国、第三王女リリア・シュッツ・スグワルドですわ」
「おお、そなたも3人目なのか!親近感が湧くな!おっと、名前を名乗っていなかったな私はフラが帝国第三皇女キリエ・フラガだ!ところで、シュッツということは結婚しておるのか?」
「ええ、こちらのヴィル様とこの間、結婚式をいたしました」
と言って、もじもじしながら照れている。こっちまで照れる。
「おお!なるほど!王国ばかりはずるいから私もそちの夫と結婚しようではないか!」
は?なぜそうなる?
「実は父上から早く結婚しろと言われているのだが、紹介される物は皆爺ばかりでな。辟易していたのだ!お主なら側室でも構わんぞ!そもそも、次期皇帝は私ではないからな!それに、リリア殿とは仲良くできる気がするんだ!」
「皇女殿下。一つよろしいですか?私と結婚するとドラゴンと戯れることができるからとかではないですよね?」
「ギクッ」
「ギクッって言葉にする人は始めて見ました……いや、この場合は聞いたといったほうが良いのか?」
そこまで言うと先程まで呆然とし、再起動したミンスが口を挟んできた。
「殿下、皇帝陛下のお言葉をお忘れですか?彼らはスグワルド王国の所属ですよ?」
「では、父上に戦争を止めて和平交渉を進めるように話をしてこようではないか!」
そう言うと皇女殿下はそのまま出ていった。
「ヴィル様、それで和平が結ばれたらどういたしますか?彼女と結婚しますか?」
と、リリアが爆弾を投げてきた。
「ちょっと待て、もうお前と結婚しているんだぞ?」
「はい、承知していますよ?」
それがなんですかとでも言うかのように小首をかしげてる。
「いや、結婚できるのは一人だけだよな?」
「いいえ、そのような方はとてもめずらしいですよ?」
なるほど、ご都合主義と言うやつかな?
「国民はわかりませんが、少なくても王族は最低でも三人は娶らないと世継ぎの問題があります。ですので、王族となられたヴィル様は最低でも後お二人は娶ってください。そういう意味合いで言えばキリエ第三皇女殿下は良いかと思われますよ?今後このフラガ帝国の腐敗をなくし、正常化させるならそちらとの縁を作っても良いはずです」
「その、なんだ。そういうたくさん娶ることに、その、忌避感は無いのか?」
「なぜですか?庶民だと忌避感があるのでしょうか?」
そういう価値観らしい。
「そうなのか……すまん、とりあえずどうなろうが、もう少し考えさせてくれ。俺の居たところでは結婚は一人なんだよ。だからどうするにせよちょっと整理させてくれ」
ってことは多分女性と男性の割合は女性が多いのだろう。一応聞いてみるか。
「もしかして、このあたりは女性の方が男性より多いのか?」
「ええ、そうですよ。男性は何かと戦争なんかに出兵したりして、男性はどうしても少なくなってしまいます。ヴィル様の国では違うのですか?」
「俺がいた国では戦争は70年以上していない」
「そうなのですか!」
と、ミンス殿が乗り出してきた。
「ええ、我が国では技術の発展に伴い、大量殺戮兵器がそれこそ数え切れないほどあり、それらすべてを使用すると、すべての大陸が滅んでしまうほどです。なので、戦争をするにしてもルールを決めて行います。それに我が国はどのようなことがあっても戦争は行わないと宣言しています。我が国に攻め込もうという国もありません。それをしてしまうと、他の国からいろいろと責められますので」
「それは……なんとも、理想的ですね」
と話していると再度扉が乱暴に開け放たれた。
「父上にお願いしたら断られた!ヴィルヘルム殿!私と一緒に父上を説得してほしい!」
このお転婆娘はなにか問題を起こしていないと気がすまないのかもしれない。
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