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275エピローグ

   (エピローグ)




「『探偵部』、承認します」


 生徒会長の高梨友里たかなし・ゆりが、生徒会室でおごそかに宣言した。認証のハンコが書類に押される。この晴れの場に出席したのは俺と純架の2人だけだった。他のメンバーは部室で待機している。


 友里はくすくす笑った。


「とうとう『探偵部』になったんですね。おめでとうございます。これから来年の3月までにかかりそうな費用を表にまとめて、後日提出してください。渋山台高校の予算は豊富ですから、割と細かいことでも対応してくれますよ」


 純架は目頭を熱くしている。


「ああ、とうとう部活動として認められたのか……。これからは部費がつくのか……」


 俺とグータッチした。


「今日は最高の日だね、楼路君! 早速部室に戻って皆と派手に騒ごうじゃないか」


 俺は友里に尋ねた。


「そっちの方は順調か? 2年生で生徒会長やってて、誰かにいじわるされたりしてないか?」


 彼女は何を馬鹿な、とばかりに首を振る。


「大丈夫ですよ。もう6月も中旬ですが、皆でうまくやっています。『探偵同好会』の皆さんのおかげですね。……っと、もう『探偵部』でしたね」


 純架が各種書類を持ち帰ると、皆が待ちくたびれていた。誠が立ち上がって腰を伸ばす。


「遅かったじゃないか。会長……じゃなかった、部長」


 純架が彼にしか聞こえない万雷の拍手にお辞儀する。


「部長か! 僕は桐木純架『探偵部』部長ってわけだね! 苦労してきたなあ……。全ては楼路君のおかげだよ」


「えっ、俺?」


 純架は俺の胸元を小突いた。


「そうさ。君がいなけりゃ『探偵同好会』は始まらなかったんだ。……色々あったよね」


「……ああ、そうだな」


 しばし感慨にふける俺たち。飯田奈緒、辰野日向、三宮英二、菅野結城、台真菜、藤原誠、柳健太、富士野朱里。白石しらいしまどかという地縛霊も忘れない。


 長く険しい道のりだった。だが今ここに、純架の悲願は達成されたのだ。


「何をぼけっとしてるのよ。『探偵部』設立承認のプリント、皆に見せてよ」


 奈緒が催促する。純架は虎の子の書類を机に広げ、皆がそれに群がった。




 春は終わりを告げ、季節は初夏に移ろうとしている。




『探偵部』は今後、いかなる事件に出くわすのだろうか?




 俺は親友の純架の幸福そうな横顔を見ながら……



 このかけがえのない時間が、永遠に続くことを願うのだった。

まだまだ続きます!

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