表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
織田信長の利口な兄(織田秀俊)に生まれ変わったので領地開発して天下統一を目指す  作者: 伊月空目


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/32

31、寺部の虎

 大都市那(だいとしな)古野(ごや)の南には寺部城という城が存在する。那古野今川家に属することのない第三勢力として寺部城の山口氏はその勢威(せいい)(ほこ)っていた。


 評定の間には織田千代丸の姿があった。


 上座(かみざ)に座るのは山口(やまぐち)監物(けんもつ)(もり)(しげ)である。山口家当主のこの男は織田、()古野(ごや)今川(いまがわ)、斯波家にも属さぬ独立勢力としてこの地に君臨していた。


「ほう、手を結ぼうとな?」


 若い当主は目を細める。千代丸は(うなず)く。織田千代丸、噂に(たが)わぬ利口者よ。山口(やまぐち)監物(けんもつ)は独りごちる。


「はい。これから我らは寺部の皆様とは(よしみ)を通じたく」


 千代丸の笑みに監物(けんもつ)(うれ)しそうにする。


(今川(いまがわ)()衛門(えもんの)(すけ)め、先に千代丸に手を出すとは。全く油断できぬ奴。まあいい。これで俺も千代丸とつながれる。()古野方(ごやがた)に遅れは取るまいて)


 監物(けんもつ)は野心を(うず)かせる。()古野方(ごやがた)と山口氏は仲が良いとも言えない。漁業の利権を持つ監物(けんもつ)にとって、()古野方(ごやがた)に屈するわけにはいかないのだ。


「こちらとしても(しょ)(ばた)織田弾(おだだん)正殿(じょうどの)とは(よしみ)を通じたい。これからはよろしく頼むぞ、千代丸殿」


 ニッコリと笑って監物(けんもつ)は応じる。千代丸も愛想の良い笑みを浮かべて会見は終了した。









「若、何故(なにゆえ)山口(やまぐち)監物(けんもつ)と結ぶのですか、()古野(ごや)今川(いまがわ)も怒りましょうぞ」


 忍びの孫十郎が千代丸の側に歩み寄ると聞いた。千代丸は童子とも思えぬゾッとする笑みを作る。孫十郎は思わずたじろいだ。


「氏豊と山口監物、二匹の虎で争ってもらえればよい。フフフ、その内に領内を豊かにするのだ。そうだな……孫十郎、次に作る店なのだがな……」


 孫十郎は口元を結ぶ。やはり恐ろしい男だ。息を飲んだ孫十郎は放心状態で千代丸の話を聞くのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ