92 夢を白球にかけて
前日と本日の、ほぼ連投の2話目です。最新話チェックをしている方で前の話を読んでいない方は、前の話に戻ってください。実質的に前後編の後編です。
『『『ありがとう、ございました――――っ!!!!』』』
整列し、礼を交わす。――試合が、終わった。
弘前高校野球部が勝ち、我々、宗源山高校野球部が負けた。
9回までの攻防が、2時間にも満たない試合が、まるで夢のように感じる。
礼を交わし、弘前高校の列に並ぶ、山崎 桜 を見て。
宗源山高校野球部の主将、背番号2番、瀬戸 康太は、こう思った。
【 やはり、女性の大きな胸はいいものだ 】――――と。
瀬戸 康太は、自他ともに認める、おっぱい星人である。それも巨乳派閥に属する漢だ。誰が何と言おうと女子の魅力はまず胸であり、称えるべきは巨乳であり、その突き出た双峰なのである。これは譲れない。もちろん小さな胸を愛でる紳士が居る事を否定するものではない。だが、やはり自分は大きな、巨大な胸が好きなのだ。これは憲法にも認められた個人の思想の自由というものであり、否定される謂われは無いのだ。
もちろん際限なしに大きければいい、というものではない……というような、いくらかの拘りはある。張りがあるべきだ。前に突き出ているべきだ。エトセトラ、エトセトラ。
そんな瀬戸が、去年の夏。夏の甲子園大会の県予選に関するWebニュースで、衝撃的な情報を得る事になる。県下に――巨乳女子野球プレイヤーがいる、という情報を。
もちろん確認するまでは、ただのウワサにすぎない。だが、【 山崎 桜 】の画像がネット上に次第に増え、自分達のチームが県予選で敗退した後、地方TVの高校野球放送で、山崎 桜の動く様子を見てから、『なぜ、俺はあのグラウンドに立っていないんだ』と、血涙を流す程に悔しく思った。ユニフォームの下は想像するしかないが、あのボリューム、あの力強さ、あの迫力。あれこそが、女子の理想とすべき肉体だ。そんなスポーツ女子が、県下に、しかも同じ業界に存在する。これには運命的なものを感じた。
以後、山崎 桜の出ている試合は、必ず録画した。
宗源山高校野球部の部員はすべて、広義おいて同志である。同好の士もしくは、同じ志を持つ同盟紳士だ。であるが故に、瀬戸は少しだけ、申し訳なく思う。なぜなら。
【 やはり、おっぱいは見上げてこそである 】
という、瀬戸の心の紳士録第一項に書かれている、瀬戸が抱く真実の理ゆえだ。
山崎 桜のおっぱいを見上げる事ができるのは、基本的にはキャッチャーである瀬戸だけの特権である。同志と喜びをすべて分かち合えないのは心苦しい。せめて、バックネットから望遠接写で山崎をロックオンしているカメラと、1塁側ベンチの地面ギリギリから望遠で録画している画像から、その喜びを知って欲しいと思う。見上げる乳は、まさに銀河の星のごとく。感動と感謝の念を呼び起こし、世界への悟りを我らに与えてくれるのだ。
背番号1番、最終回まで投げぬいたエース、大谷 吉信は、目の前にいる、泥だらけになった山崎 桜を、頭ひとつ高い位置から見下ろし、こう思う。
【 やはり、大きなおっぱいは最高だぜ!! 】――と。
大谷は、まごう事なき、判別間違い不能なレベルでの、おっぱい星人である。それも巨乳派閥に属する紳士だ。巨乳は我々人類に与えられた大いなる福音であり、生きる喜びであり、明日への希望であると、日頃から思っているのだ。この世に神がおわすなら、感謝の心を受け取って欲しい。なぜなら、人に生きる希望を与えてくれたのだから。巨乳女子の胸にそびえる双峰は、人が畏敬の念を抱く神の御山である。
この試合を前に、同志たる野球部員の全員で誓った事がある。『喜びは可能な限り、分かち合おう』と。……ゆえに、大谷は少し心苦しく思う。なぜなら。
【 なぜなら、おっぱいは見下ろしてこそである 】
と、固く信じているからだ。大谷の教義と言ってもいいだろう。
しかし、今のように至近に迫らない限り、それは叶わない。そう、マウンドにでも立っていなければ。マウンドはバッターボックスから18メートル程も離れてはいるが、その程度の距離は、魂と情熱によって埋められるものだ。特に、低めの球をなんとか打とうとして構えている山崎の、官能的とも言えるポーズによっては問題にもならない。
しかし、これはピッチャーの自分だけに与えられた特権である。せめてバックスクリーン脇から超望遠で山崎を捉えている、カメラの映像で少しでも、その喜びを分かち合って欲しいと、そう思うのだ。
背番号3番、川原 陽介は、斜め前に立っている山崎 桜を見て、こう思う。
【 やはり、おっぱいを見るなら、斜め前こそが至高だ 】――と。
川原は、もちろん言うまでも無く、おっぱい星人の巨乳派閥に属する戦士である。趣味は巨乳エロ動画と巨乳エロ画像の収集。とはいえ、よくある趣味であり、その点では普通の男子である。性格も至って温厚、気の優しい、仲間に心配りできる男だ。
だからこそ、自分がポジション的に恵まれている、という事に心苦しさを覚えずにはいられない。
川原の守っている1塁は、作戦上、必ず山崎 桜が足を止める塁である。牽制のためのランナーチェック、牽制の時のタッチの頻度も高い。普通に守っていても、あの憧れの巨乳が揺らした空気を間近に感じる事ができ、あの巨乳の波動を身に受ける事ができるのだ。しかも、1塁へと駆け寄ってくる山崎を、至近距離で見る機会にも恵まれる。あの双峰から流れ出た神の息吹を胸に吸う事ができると思うと、それだけで魂が昇華される思いになる。
だからこそ仲間には、せめて少しでも、1塁スタンド側からの資料映像から、その至高の角度と雰囲気を味わって欲しいと思う。川原はそう願いながら、試合を続けていたのである。実に心配りのできる男であった。
背番号4番、小林 良助は、山崎 桜の泥に汚れた姿を見て、こう思う。
【 やっぱ巨乳の泥レスって、最高の競技だよな 】――と。
2塁手の小林は言うまでも無く、おっぱい星人である。もちろん巨乳派閥に属している。そして、細分化された嗜好地区の区分においては、『白い肌が泥汚れになる様子を見ると、どうしようもなく興奮できる』という紳士的属性を持っていた。
もちろん夢は、裸リボンの巨乳彼女に、全身チョコレートソースがけでバレンタインチョコをいただく事である。彼はそういう趣味嗜好の漢なのだ。
彼の嗜好的に残念なのは、もちろん山崎 桜がユニフォームを着ている事である。もしも彼の思考を覗ける者がいるとすれば、『こいつは何を言っているんだ』と言わざるを得ない思考であろう。野球は安全対策も含めて、しっかりとユニフォームを着て行うスポーツだからだ。だが、彼は紳士的脳内変換能力によって、山崎がビキニ姿にヘルメット着用で走る姿を想像する事もできるのだ。――彼が去年の弘高文化祭のミスコンの様子を知れば、思わず人目をはばからず絶叫する事は間違いなかった。彼の夢見る至高の双峰には、ビターなチョコのトッピングなどが似合うだろう。それこそが彼の夢幻郷である。
山崎がユニフォームを着用しているのは少し残念ではあるが、その白いユニフォームが黒く泥汚れにまみれ、素晴らしい巨乳女子がハァハァしている様子を観察できるのは、人生最高の喜びである。他の仲間に少しだけ心苦しく思いながらも、彼は試合中、その喜びを噛み締めていた。
背番号6番、加納 伸二は、泥だらけの山崎 桜のユニフォームを見て、こう思う。
【 やっぱり、陰影が浮き彫りになった巨乳は、最っ高だよな!! 】――と。
遊撃手の加納は無論おっぱい星人の巨乳派閥派であり、根本的な部分では2塁手の小林と同じ嗜好の持ち主である。白い肌、巨乳が何かしらで少し汚れるのが大好きなのだ。ここら辺は2遊間コンビとして、何か似通ってくるものがあるのかも知れない。
だが、彼が他の部員と大きく違うのは、趣味に『フィギュア制作』を隠し持っているところである。もちろん現実の女子に興味が無いわけではないが、他の部員よりもさらに、女子の体の部品という部品を、つぶさに観察する傾向があるのだ。その中でも、彼の興味は巨乳の造形と、フィギュアにおける再現性の技術にある。特に双峰の谷間に関しては妥協を許さない。作るたびにさらなる最高の谷間を目指そうと思うのだ。
ゆえに裸は当然ながら、服を着た巨乳の陰影のつきかた、自然に泥汚れが付着し、それを適当に落とした結果、巨乳によって汚れがどのように残るのか、巨乳スポブラをユニフォームが黒土魚拓した光景を見る機会を得るのは、もはや神に五体投地して感謝するレベルだ。山崎は生きた資料、呼吸する先生、動き回る完璧なフィギュアと言っていい。
巨乳はいい。現実の女子はとてもいい。だが、一瞬を切り取った彫像もいい。デフォルメもいいが、リアル系も素晴らしいものなのだ。
加納はいつか、完璧な等身大のフィギュアを作る事を夢見ている。その時こそ、仲間にもその素晴らしさを知ってもらおう……と、山崎の、この造形の素晴らしさを共に語り合えない事を、少しだけ残念に思いつつ、至高の時間を過ごしていたのだった。
背番号5番、飯田 尚文は、少し離れた場所に立つ、山崎 桜の横顔を見て、こう思う。
【 やっぱり巨乳女子の、横顔とうなじは、本当に最高だぜ…… 】――と。
3塁を守る飯田は、言い繕うことの出来ないレベルでの、おっぱい星人である。それに加え、よくある嗜好ではあるが、女性が髪をかき上げる仕草、髪に隠れたうなじが見えるその瞬間、見えてしまう角度が大好物なのだ。浴衣と髪結いは、彼の嗜好のために存在する文化と言っても過言では無かった。
しかし彼は、おっぱい星人の巨乳派である。襟から胸元への段差とか、そういうのが無いと物足りなく感じてしまうのだ。それゆえ、1塁2塁で泥にデコレーションされ、陰影が浮き彫りになった山崎 桜が届けられた時は、仲間に平伏して感謝の意を示したいほどの歓喜を覚えた。かの双峰へと流れる曲線は、まさに神の作りたもうた芸術だ。
そして3塁ランナーは、基本的にホームを見る。常にうなじが絶好の角度で3塁手である自分に見せつけられるのだ。突き出た胸元、泥汚れを時折洗い流す汗、輝くうなじ。感動で滂沱の涙が流れそうになるのを、必死に堪えて素晴らしい映像を脳裏に焼き付ける。惜しむらくは、この絶好の角度を記録できる角度のカメラが存在しない事だ。1塁スタンドと3塁スタンド、バックスクリーンのカメラの映像を合成して、何か特別な映像を合成する事ができないものかと考えながらも、仲間への心苦しさを覚える。そしてそう思考を巡らせながらも、彼は連続する一瞬を脳内フォルダに連写記録し続けたのだった。
背番号7番、富岡 礼司は、山崎 桜を見ながら、こう思う。
【 残念ながら、ここからじゃ横乳は見えないな…… 】――と。
富岡は説明するまでもなく、おっぱい星人の巨乳派である。そして『横乳』こそが至高である、と主張する地区に住んでいるのだ。
『横乳』……巨乳、いや爆乳に興味が無く、それどころか乳のボリュームに興味の無い紳士には聞き覚えの無い単語かも知れない。いわゆる『体のラインから飛び出した乳』のラインを愛でる嗜好であり、細身ではあるものの爆乳の女性が腕を上げた時、胴体のラインよりもはみ出した乳のラインが後ろから見えたり、斜め後ろからハッキリ見えたりする事をそう指すのである。場合によっては、水着やエプロンのラインから横にはみ出した巨乳をそう呼ぶ事もある。とにかく横から見えてしまう巨乳の事をそう呼ぶのだ。
なお、3塁の飯田とは浴衣について熱く語り合った事もある盟友である。もっとも、その語らい合う点は、浴衣の襟元と浴衣の身八つ口に関してであり、微妙に違っていたのではあるが。
そして富岡がピックオフプレーのため3遊間に近づけば、自然と背後から山崎に近づく事になり、斜め後ろの横乳を拝む機会に恵まれる事になる。無論、ユニフォームの上からのラインではある。だが、上着を押し上げて主張する、あのライン!!巨乳横乳愛好家である富岡にとって、ただただ感謝の気持ちを覚える他は無いのだ!!無いのだ!!双峰の頂が、その山頂へと続く稜線が、雲間から垣間見える時。彼は歓喜を覚えるのだ。
そして視力の良い富岡は、2遊間の山崎も、余裕を持って観察する事ができる。こんなにも良いポジションをもらってしまい、少しだけ心苦しい思いを抱きながら、富岡は最高の試合を送っていたのだ。
背番号8番、北村 太一は、山崎を見ながら、こう思った。
【 ほんと、惜しいよなぁ……あと10センチ背が低ければ 】――と。
中間手を務める北村は、可愛い系の女子が好きな男である。
だからといって、おっぱい星人ではない、という訳では無い。無い乳に価値は無く、乳の無い女は女子であって女ではない。子供と大人の女の差は、乳の大きさによって決まるのだ!!と断言する程度には、巨乳派閥に属している。つまり、背の低めの女子が好きなだけである。背の低い巨乳爆乳女子であれば、すぐさま跪いて求婚したいとすら常々思っているぐらいなのだ。そびえる双峰、その偉大なる御力こそが、人の求める力である。
ゆえに、山崎の身長170センチ程度というのは、実に惜しい。おっぱいは最高なのに、なぜに身長が有るのか。なぜだ。天は二物を与えず、というのはこういう事なのかと、神への感謝と同時に、世の無情を思わずにはいられない。
だが幸いな事に、彼の守備位置はセンターである。打者から、ランナーから最も距離が遠い守備位置である。宗源山ナイン中最高の視力を誇る彼にとっては、山崎の全身が、飛んだり跳ねたりする様子が逐一、すべてを視界に捉えられるこの場所は、まさに最高の場所だった。あとは脳内フォルダに記録した動画に修正をかけて再生するだけである。かわいい山崎が構える。走る。跳ぶ。スライディングする。彼はとてもとても満たされた気持ちで、試合を続けていたのだ。
背番号9番、坂口 壮太は、姿勢のいい山崎の全身を眺め見ながら、こう思う。
【 素晴らしい身体だ。乳もいいが、やはり尻が最高だ 】――と。
坂口は巨乳も好きだが、どちらかと言えば尻派である。
彼にとっての至高の双峰とは、乳ではなく尻の稜線の事を指す。寝そべったセクシーポーズの桃尻女子の尻は、拝み倒しても拝み尽くせるものではない。
しかし。だからといってチームの和を乱すような事はしない。彼は空気が読める右翼手なのだ。
そして尻派ゆえに、1塁ランナーとなった山崎の背後から近づく任務に就く事は、感謝の一言。まさに、天は我が意を得たり!!と言わざるをえない仕事である。
彼は思うのだ。人はサルより進化したという。サルのメスは成熟すると尻が肥大し色が変わり、オスを引き付けるのだという。人がサルから進化し、尻が隠れた事に代わり、目につきやすい乳で男を引き付けるようになった、という説を彼は支持する。
だからこそ乳は、それに増して尻は、男を引き付けるのだ。これは自然の摂理というものである。ゆえに乳派と尻派は兄弟分であり、ともに理解し合うべきなのである。坂口の好みで判断する限り、乳の見事な女子は尻も相応に見事だ。乳と尻は相互関係にある。これは有識者が研究すべき題材ではなかろうか。将来の進路に考慮すべき事柄かも知れないと、彼はそう考える。
そして尻派だからといって、どんな尻でもいいという訳ではない。坂口にもこだわり、というものはある。張りがあるべきだ、ある程度突き出ているべきだ。できれば若くて肌がキレイならば言う事はない。つまり最低限、相応に鍛えられていなければならない。尻とは筋肉の集合体、人体の下半身を支える重要な部位。美しさとは、すなわち鍛えられているという事。鍛えられていない尻など尻とは呼ばないのだよ!!
ちなみに坂口は、鍛えられたフトモモの方も大好物である。基本的に下半身肉マニアなのだ。そしてそんな坂口にとって、山崎という鍛えられた下半身は、まさに女神の彫像のごとく映った。裸にしたいとか恐れ多い事は考えない。だが、動くところが見たい。間近で見たい。あの下半身が躍動する姿を見たい、そう思った。
山崎がスライディングする瞬間、下半身にタッチする機会を得た。今しかない、と思ったのも束の間、女神の下半身は滑り去った。まさに理想の尻とフトモモが生み出す、流石の運動能力だと、あらためて感動を覚えたものだ。すべてが楽しい。立つ姿、走り出す姿、スライディングから起き上がる姿。身体よ天を駆けよ、とばかりに延ばされるヘッドスライディングの姿。すべてが美しく、新たな感動を教えてくれる。素晴らしい尻とフトモモの競演。
坂口は、感激と感動を持って試合を続ける事ができた。野球を続けていて良かったと、心の底からそう思う事ができた今日の事を、俺は一生忘れない、と。
――――そんな宗源山高校野球部の、よくある男子高校生の気持ちなどを露ほども知らず。弘前高校ナインは宗源山高校ナインと笑顔で握手を交わし、インタビューを受け終えると更衣室へと向かった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※
そして。着替えを終えて外に出てくれば。
「――あれ?宗源山高校の人って、もう帰っちゃったかな?」
「早いな」「男子だけだしな」
「マジメなとこだし、反省会と、秋に向けての練習計画でも練るんじゃないの?」
「……秋は、また一段階上へと、上っているかもな」
そんな会話をする俺達。
更衣室から出てきて周りを見渡すと、もう宗源山高校の姿は無かった。
まあ、俺達も学校に帰って昼飯を食べて。今日の反省会とミーティングだものな。似たようなものだ。俺達の場合は明日の試合に向けての準備もあるし。
すでにこの場を去った、未来の好敵手を思い。
明日の試合も頑張ろう。そう思う、俺達なのだった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※
【 宗源山高校野球部 部員だけの秘密ミーティング 】
「最後の、凄かったな」
「ああ。ワインドアップで振りかぶる、あの胸部の大迫力」
「思わず声が出てしまった」「陰影がついていたのが良かった」
「泥汚れが実にいい味を出していた」「まったくだ」
「打席からも大迫力だったぞ。迫りくる勢いというか。見上げる迫力だった」
「ちゃんと動画、撮れてるだろうな??」
「チェックしています。バックアップも取りました」
「作業はオフラインでやれよ。絶対に流出させるなよ」
「ウイルスチェックはこまめにな!!」
「残念なのは、3打席で終わった事か……」
「くっ……もっと俺達に、実力があれば」
「山崎の登板は、もっと早かったはずだ」
「次こそは、もっと」「もっとだ」
「あとは、素手に持ってのタッグができなかった事だな」
「……前にも検討したけど……本当に大丈夫だよな??」
「当然だ。フォースでないランナーアウトは、蝕球で決まる」
「利き手にボールを持ってランナーに触れるのは、よくある事だ」
「山崎はその点、男らしい部分がある。グラブでのタッグは嫌な顔ひとつしなかったぞ」
「でもさすがにグラブじゃなあ。よく分からんかった」
「いずれ。必ず」「必ずや」「揺らしてみせようぞ」
などと。
監督も知らない秘密の会話をする、男子高校生の姿が、そこにはあった。
夢。幻想。愛。希望。色々な青春の情動が入り混じる、ごく当たり前の光景。
もしも彼等の思いに触れる者がいたとしたら、その者はこう、言うだろう。
――彼等に、幸あれ。と。
宗源山高校野球部は、新たな目標を胸に。また明日より、白球を追い始めるのだ。
『バカじゃねえのお前』
――という独白が読者様の口から洩れたら、筆者の勝ちです!!
あと、双峰双峰あまり連呼すな、怒られるだろ。みたいな抗議は受けつけておりませぬ。検索もダメです。ただの偶然ですってば。
直接的な表現が無いので、ノクターン行きの案件でもありません。よろしくお願いします。
一部の方に笑ってもらえたらいいなあ、と思いながら。何も計算せずに書きなぐりました。
けして筆者の性癖暴露大会ではありません。ちがいますよ。
そんな訳で、今後もゆるーく見守る雰囲気でお願いいたします。
この作品は、読者様の寛容な気持ちで支えられております。
優しさは愛。ラブアンドピース。今後もよろしく。




