第二十六話 罰ゲーム!?
テスト勉強を開始した日から、一週間が経過していた。僕はいまだに納得できない事があったので、それについて勉強の休憩時間を使って立花さんと話し合っていた。
「そもそも、一番の被害者である僕が何故蚊帳の外なんですか?何一つ了承してませんからね」
そう言うと立花さんは不貞腐れて、口を尖らせ僕を睨む。
「そんな顔してもだめです」と僕が言うと、立花さんは顔を破顔させ、舌を出して首を傾げる。
僕はいつも通り深いため息をついて、顔を掌で覆うと、「もう観念しなさい」と立花さんが、凛とした態度で言う⋯⋯
どの口が言うんだよ。僕は明らかに不機嫌そうな表情を浮かべて、ジト目で立花さんを見た。
「しょうがなかったのよ、あの時『勝負よ』って言ったものの、勝負内容が決まらなくて悩んでいたら、ちょうどいい時期にテストがあるじゃない?もうこれしかないみたいな?」
僕は呆れ顔をして、取り敢えず気になる事と今抱えている問題を解決するために話し始めた。
「そもそも、どうやって朱里の番号を調べたんですか?」
「人聞きの悪い、駅前を歩いていたらバッタリ会っちゃって、睨み合いになったのよ」
ヤンキーですか?
「それでなんで、番号を交換する流れになるんですか?むしろその状況ならお互い教えませんよね?」
「うん、その場で拳を振りかぶって、殴り合いの喧嘩寸前までいった時に、通行人に止められてさ、仕方なく番号を交換して、別の日に決着つけよってなったの」
僕は愕然としてしまった。勇気ある通行人には賛辞を贈りたいと思ったが、殴り合い寸前ってどんな状況だったの?絶対にヤンキー漫画に影響されてるよね?そう思って、慎重に言葉を選んで話を続ける。
「なるほど、勝負に関しては僕が関与できる範囲外なので一旦保留として、勝者の景品が僕と一日デートってなんですか?」
「景、品だからよ」
なに言ってんだこの人?
「あのですね、僕に報告と言うか相談とか全くありませんでしたよね?」
「する必要ある?」
開いた口が塞がらない。僕は口を金魚みたいにパクパクさせながら、最後の抵抗を試みた。
「いやですよ、デートなんて絶対に嫌ですよ」
「そうよね、朱里とデートなんて嫌よね?なら私を勝たせなさい」
いやデートが嫌なんです。
「勝たせなさいって、立花さんの頑張り次第じゃないですか?そもそも勝算や勝つ算段はあったんですよね?」
「二階堂くん頼みだよ、だって私が勝てばデートするもしないも二階堂くん選べるじゃん?てか全ての問題解決すると思わない?」
「横暴過ぎます!」
「クーックックッ」
立花さんはいつも通り悪代官の笑い方をしたと思ったら、急に真剣な眼差しを僕に向けてきた。
「な、なんですか?」
「ん、そろそろお約束しない?」
「お約束ってなんですか?(嫌な予感しかしない)」僕は額から一筋の汗を流し、固唾を呑んで立花さんを見守っていると、買い物袋からポッキーを取り出してきた。
「それは絶対に嫌です(断固拒否)」
「定番でしょ?」そう言って、ポッキーの封を開け口に咥えると⋯⋯普通に食べ始めた。立花さんは『ニター』っと笑みを零しながらこちらに視線を向け話し始める。
「なに?なにか変な想像でもしたのかしら?」
くぅーー、この女。僕はあくまで冷静を装って数学の参考書を取り出す。
「そろそろ休憩終わりですね、次は数学やりましょう」
立花さんは『ニタニタ』とした笑顔を浮かべながら頷いた。僕は妙に悔しくなり、この日から今まで以上に厳しい姿勢で勉強を教えようとしたのだが、それを察した立花さんに軽くあしらわれてしまい苦汁を飲むことになった。
『テレテレッテッテッテー』
二階堂景と立花蒼はレベルアップした。なにのレベルアップだよ!!
そして一週間後のテスト当日。




