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第二十四話 最初の晩餐

 「景〜、夕飯できたわよ〜!」

 

 「わかった、今行く」


 母さんの声が家中に響き渡る。夕飯?あれ立花さんはどうしたの?と疑問符を浮かべながらリビングに向かうと、その光景を目の当たりにし唖然としてしまった。


 立花さんは制服にピンク色のエプロンを着用し、母さんは室内着にいつものベージュ色のエプロンを着用して、二人楽しそうに料理をしている。


 恐らく僕がいぬ間に?色々と意気投合して今に至ったのだと思うけれど⋯⋯それにしても仲良くなりすぎでしょ?そう思って立ち竦んでいると。


「なに突っ立ってるの?早く座りなさい」母さんにそう言われて、四人が座れるダイニングテーブルのいつもの席に座る。すでに三人分の取り皿が用意されていた。三人分だ。


 テーブルの真ん中には、母さん自慢の唐揚げがこれでもかってくらいに盛られており、その他にトマトの和風豆腐サラダとオイキムチが置いてある。


 唐揚げから湯気と共に、ニンニクの食欲をそそる匂いが立ち込め、和風ドレッシングとオイキムチの酸味の効いた匂いが鼻孔をくすぐる。


 思わず唾をゴクリと飲み込むと、それを見ていたのか立花さんが、微笑みながら僕の横に座る。


 「た、立花さん料理できるんですね?」

 

 「全くできないよ、お義母さんが手取り足取り教えてくれたんだよ」そう言って、頬をポリポリと掻きながら少し俯くと、母さんが三人分のご飯とお味噌汁を運んできてくれた。


 「蒼ちゃん筋いいわ〜、絶対にいいお嫁さんになるよ〜」


 そう言って僕を見る。なぜ見る?


 「本当ですか〜?でもお義母さんが凄くわかりやすく教えてくれたからだと思いますよ!」

 

 「そんなことないわよ、蒼ちゃんの才能よ、さ、い、の、う!」


 なにこれ?三文芝居かなにかなの?僕は訝しげな表情を浮かべながら二人を交互にみた。


 「「なによ」」

 

 「いえ、なんでもありません」


 肩身が狭い。そんな思いの中、三人で初めての晩餐が始まった。

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