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n番煎じの異世界転生  作者: ココちゃん
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第26話






「なんていうか、鬱蒼としてるね?」


「庭があって、木とか草で家が見えなくなってるんだ」



あー、これレオンが出した条件か。

たしかに視界は見事に遮られてるね。

家、あるって気づかないよ誰も。



「ここから北に行ったところに騎士団の本部があって、町外れでも治安は悪くないよ」


ほほー。


「裏庭は城壁に面していて、お隣さんも遠いし、目立たない」


「良いな」


レオンの望む立地条件は余裕でクリアだ。

ホクホク顔をしている。


「内装とか、家の中で設備は僕がどうにでもするから、リリのお願いは全部大丈夫だからね」


アビエルは、ドヤ顔だ。

私の希望もクリア出来るらしい。



「家どこにあるの?」


家も見ないで決められないからね?


「こっちだよ」


木や草が生い茂っていて見えなかったけど、敷地の外周には、金属製の塀があった。


門には鍵が掛かっていて、アビエルが魔法っぽい何かをして開けている。


アビエルしか開けられないとかないよね?



少し歩くと家らしき建物が見えてきた。

第一印象は、某ねずみの国にあるオバケ屋敷。怖いメイドさんが案内してくれるやつ。


こじんまりとした木造のコの字型の建物で、土台部分は石造り。

洋館らしく、玄関までは階段で少し上がる。

半地下の部屋があるように見える造りだ。


ていうか、庭すっごい広い。

井の●公園くらいか、それ以上?

でも家の大きさは、日本人の感覚でも、大きめかなって思う程度。これくらいならなんとか借りれそうかな?


ぱっと見、ホーンテッ●マンションなんだけれども、木漏れ日があたって、柔らかい日差しに照らされているのを見ると可愛い感じにも見えてくる。


「小さいな」


レオンはもっと大きな家がご所望のようです。さすがは元騎士様ですね。


「うん、外見はね」


アビエルは、にっこり笑って言う。


まさか異世界特有のアレな造りなのか。


「中は僕がこれから色々イジるから、リクエストがあれば言ってね」


え、なに、もうここ借りる前提なの。


「中は結構広めに作ってあるはずだよ」


「どういうことだ」


レオンの問いかけに、意味深な笑顔を浮かべながら、アビエルは扉を開ける。


「さあ、入って」


入口の扉を潜ると、吹抜けの広々としたエントランスになっていた。


既におかしい。


外観の大きさだと、このエントランスだけで終了してしまう。

一部屋しかないのでは、と思ってしまうのだが、左右にも奥に続く廊下やら、扉があるのだ。


「む、意外と広いな」


や、意外とってレベルじゃなくね?


「右が応接間になってて、左にキッチンと食堂、お風呂とかの水場になってるんだ」


「お風呂!」


『森のこりす亭』にもなくて、実はしばらくお風呂入ってない。こんなに長い期間お風呂に入ってないとか、産まれて初めてのことだ。

やっぱり日本人の異世界転生者は、お風呂に喰らいつかないとだよね!テンプレ!



「リリはお風呂好きなの?」


「好き」


「そうなんだ。一般家庭の家には、あまり設置してないから良かったね」


「うん」


早く入りたいです。


応接間は、エントランスほど広くはないけれど、それなりの広さがあって、高そうなソファとテーブルが置いてあった。あとマントルピースもあった。


家具付き物件?


応接間の廊下を挟んで向かい側の部屋は、書斎のようで、重厚感溢れる机と椅子があって、壁一面の書棚には、本がたくさん詰め込まれていた。


本付き物件?


広々としたキッチンは、妙に現代的な感じで、私でも普通に使えそうだった。


什器もあるね?


キッチンテーブルと椅子があって、ここでゴハン食べるんだろうなと思ったら、隣の部屋が食堂なんだそうだ。

長方形の大きなテーブルと、立派な椅子が10客ほど置いてあった。


王侯貴族か。


お風呂は、タイルっぽい床に、外国の映画に出てくるようなバスタブが置いてあるタイプだった。んー、少し残念。

こんなに庭が広いなら、露天風呂があっても良いよね。

ガラス張りで、手入れされたお庭が見える大浴場と、お庭の中の露天風呂。


これはいい。漲る。

地面掘ったら、温泉とか出てこないかな。


「あと二階には部屋がいくつかあるから、それぞれに一部屋ずつ割り当てて、後は作業部屋とか客間で良いよね」


二階の個室も、それぞれそれなりに広かったけれど、一階と違って家具はついていなかった。

てっきり、天蓋付きベッドかなんがあるのかと思ったよ。


「リリが気に入った部屋を選んで?」


アビエルは相変わらずにこにこしながら、部屋の選択を迫る。


いやいやいやいや、待って、ちょっと待って。


「素敵な家だと思うんたけど、私たちには立派過ぎると思う」


「そんなことないよ?家って言うより小屋だよ?」


え、そうなの?


この世界の住宅事情は、これが平均なの?

いや、このレベルで小屋なの?


レオンも特に驚いた様子がないけど、ここは釘を刺しておく。


「二人ともここが良いみたいだけど、私そんなにお金持ってないからね?」


「大丈夫だよ。月に金貨6枚だから」


ん、それは安いのか?

森のこりす亭だと、一泊二食付きで、3人で金貨1枚だ。


こりす亭の6日分?


でもご飯は自分たちで作らないといけないこと考えるとやっぱり高いような。

こんなに立派な家だから、適正価格なの?

いやでも、そもそもこんなに大きな家が必要?


月に金貨6枚なら、稼げるとは思う。


でも、いくら冒険者とはいえ、無駄遣いは禁物だよね。働けるうちに貯めておかないと露頭に迷う。


そう考えると、もっと安い家を探すべき?


ああ、でもお風呂…。


お風呂付きの家は珍しいらしい。



「レオンもここが良いの?」


「うむ。郊外で人目につかず、庭も広い。中も意外と狭くない」


「アビエルもこの家にみんなで住みたいってことで良い?」


「もちろん」


「月々金貨6枚って、結構大変だからね?」


「そうなの?『森のこりす亭』が、3人で一泊金貨1枚だから、妥当な額じゃないかと思うんだけど」


「あの値段で朝ごはんと夜ごはんが付いてるからね?」


あそこのごはん、ふつうに美味しいし。


これからは自分たちでごはん作らないといけないんだよ?


言っとくけど、私は家事全般苦手だからね?







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